あんぽ柿

2022年1月26日 お仕事
ご家族から利用者さまへの差し入れの中にけっこう入っているのがあんぽ柿。

お年寄りはみんなお好きなようで。
柔らかくて食べやすいしね。

うちの施設の利用者さまはわりとお金に余裕のある方が多いのか、わりと高級なものを差し入れてくださる。
あんぽ柿も恭しく箱に入っていたり。

利用者さまが「すっごくおいしいよー」と分けてくださることがあり、とても困る。

そもそも「いただけません」というのもある。
職員が利用者さまから金品を騙し取ろうと思えば、本当に赤児の手を捻るが如く容易いことだ。
だからこそ大きなことに発展しないように、どんなものもいただかないというのが一番簡単な線引きだと思うのだ。
しかし、なかなかそういうわけにもいかず、利用者さまの気分を害さないようにケースbyケースで対応している。

小さな物なら目の前でパクッと食べて「おいしかったー。ごちそうさまでした」と喜びを伝えたり、利用者さまの認知症のレベルに応じてさりげなくお部屋に戻したり、しばらくしてから「これおいしいよー」と逆にこちらからあげるという形でお返ししたり。

しかし、利用者さまは基本あんぽ柿をティッシュに包むという形で持ち運びされる。
素手で掴んでティッシュに包んだあんぽ柿は衛生的にちょっと厳しい。
「食べて。おいしいよ」と渡されたときに既に表面のしっとり面がティッシュとくっついて同化していることもある。
「いやいや、せっかく娘さんが持ってこられたんだから○○さまがどうぞー」とやんわり断るが一旦出したものを引っ込められることはなかなかない。
なので「じゃあ今度だけはいただきますね」といただいて捨てることになる。

それがものすごく抵抗があるのだ。
スーパーで見てもけっこうな値段で売っている。
それよりももっと高そうなやつで、利用者さまが本当に好きな物でおいしいもの。
自分が食べておいしいから私にも食べてほしいと思って分けてくださる。
本当に優しい気持ちでありがたいけど捨てないといけない。
でも断るよりも食べたふりをして「おいしかったー。ありがとうございました」と伝えるほうが利用者さまは喜ばれる。
そもそも断ってもポケットに捩じ込まれたりするから断ることも難しい。

ご家族からの差し入れにあんぽ柿が入っていると、しばらくは警戒してその方との接触を控えめにしてしまう私なのだ。

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