お姉さん?

2007年5月6日
イマダさんはみるみる元気になった。
とはいっても寝たきりではあるし、食事も介助が必要なので、入院したときに比べるとADL(日常生活動作)は下がっているが、一時は生命の危険も危ぶまれていたので、それに比べれば格段に元気になったと言っていい。
しかし、身体が元気になるのと反比例し、イマダさんは徐々に口数が少なく、食欲もなくなっていた。
以前は全部食べていた食事も、今では食べて2口3口、まったく食べないことも少なくない。
イマダさんはお子さんがおられないようで、コマツさんの娘さんがかいがいしくお世話に来られる。
「おばちゃん、ご飯を食べないと元気になれないよ」と言って食事の介助をしてくれるのだが、状況は変わらなかった。
やや欝っぽくなっているようだった。
そして今日、入浴介助で私は女性患者さんの移送の担当であった。
入浴予定の患者さんをお風呂まで連れて行き、終わった患者さんをお部屋までつれて帰る。
そして順番的に私がコマツさんをお部屋まで連れて帰ることになった。
エレベーターに乗る瞬間、ふと思った。
帰る途中にイマダさんの病室に寄って、コマツさんの顔を見せてあげられないか?
それはやろうと思えばとても簡単なことである。
しかし入浴介助は少ない人数でなんとかやっているので、なるべく迅速に事を運ばなければならない。
コマツさんをお部屋につれて帰ったらすぐ他の患者さんを連れて行かないといけない。
その間にも入浴を終えた患者さんが、お風呂の前で列を成してつれて帰ってもらうのを待っているのだ。
時間的に余裕はない。
しかし、入浴介助のときでなければ他病棟のコマツさんをイマダさんの病室に連れて行くチャンスはない。
少し迷ったが、私はコマツさんに言った。
「ちょっとイマダさんのお部屋に寄って顔を見てみる?」
コマツさんは最初「忙しいからいいよ」と遠慮していたが、少し促すと「逢えるものなら逢いたいね」と言った。
よし、じゃあ行こう!

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