しかしいつまでもしっとりとはしていられないのである。
私たちには風呂争奪戦というものがある。
キヨクミから「うちの民宿のお風呂に入ってもばれないと思うのでよかったらどうぞ」というお誘いを受けていたのだが、いくら隣りの民宿とはいえ、さすがにそれは気が引けた。
そうでなくても私はビビリンなのである。
しかし、私たちの民宿の風呂争奪戦は早くも激化していた。
最後まで見ずに帰って人たちが早くも並んだり、並んでなくても「次僕たちですから」的オーラを放ちながら通ったりしていてとうぶん入れそうにない。
結局離れのキヨクミ部屋から手引きしてもらい、隣りの民宿のお湯をいただく。
すいません・・・。
お風呂で昨夜お店で逢った人たちと一緒になり、ひやっとするが表面上はしれっと入浴。
急いで自分たちの部屋に戻り身支度を整えるが、どうやらお店は昨日以上の盛況ぶり。
とても私たちの入る余地はなかった。
いつまでもそこで「ちゃんぽんが食べたい」と粘っていては本当に晩ご飯を食べそびれてしまうので、なんとかご飯を食べれるところはないかと芥屋中を歩き回る。
しまいには場末のスナック(カウンターだけのガチなスナックである。普通だったら扉を開けるのさえためらわれる)にまで入って「食事できますか?」と聞いてみるが断られた。
仕方なく民宿の前に戻りベンチに座って途方にくれていたが、空腹時の馬鹿力。
お店の中には入れなくても、ちゃんぽんをテイクアウトできないかダメ元で聞いてみることになった。
結果はあっさりOK!!
何でも言ってみるもんである。
約束の時間にお店の中2階にある厨房にちゃんぽんを取りに行き、道路を挟んで二手に別れたベンチで食べる。
噂にたがわずとてもおいしい。
通りかかった原島さんにギョッとされたのも、私たちにはとても薫り高きスパイスとなった。
お昼はあんなに暑かったのに、夜風が気持ちいい。
お店で食べるよりもいいカンジ。
神は常に私たちの味方であった。

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