76−20=?

2006年2月12日
入院患者さんのSさんが、昨日給湯室で洗い物をしている私の隣りにやってきた。
Sさんは心臓が悪く定期的に検査入院にやってくる、おばあちゃん、と言ったら本人はちょっと気を悪くするくらいかなぁ?という風情の大柄な女性患者さんである。
「あら、Sさん。検査の結果がよかったんですってね。明日退院するんでしょう?」とニコニコと声をかけると、Sさんは「ちょっと失礼かもしれないけど・・・」と言いながら私の背後に背中合わせに立った。
何をしてるんだろう?と思ったが、どうやら私の尻と自分の尻を比べているようだった。
失礼かもしれないと思うんだったらするなよ!
実際失礼である。
私はかなりムッとした。
しかしその気持ちを抑えて「どうしたの?」と聞いてみた。
「いや、あのね。実は息子が・・・」
Sさんの話はこうである。
息子さんが、退院時に着る洋服を買ってきてくれた。
しかしズボンのサイズが大きかったので、よかったら私に着てほしいということなのだ。
いや、待て!私もたいがい太っているが、お尻の大きさではアンタに負けるよ。
それになにより年が違いすぎるだろう。
サイズがぴったりだったとしても、おばあちゃん用のズボンをはくほど私はまだ枯れていない。
給湯室の奥にいた補助看のナカヤマさんが「そりゃあ、○○さん(SAKU)のお尻のほうがひと回り小さいよ」とナイスなツッコミを入れてくれた。
Sさんは「あらー、そうかね。私よりちょっと大きいぐらいかなーと思ったんだけど」とちょっと残念そうだった。
まぁ、本人には悪気はなく、むしろせっかくだから世話になった私にあげようと思ってくれたのかもしれないから、と私は先ほどの無礼を許しかけた。
そこへきてSさん、「そうやねー、それに好みもあるだろうしね。あなたは私より20は年が若いだろうから、あなたには地味かもね」
Sさんの正確な年齢は知らないが、20ってことはないだろう。
少なくともイチコよりはいってるはずである。
「私は36歳ですよ」と言うと、Sさんはぎょっとした後、おもむろに話題を変え「明日は退院だからいい天気になるといいんだけどね」と言い、そそくさと自室に戻っていった。
そして今日、Sさん退院後のベッドメイキングをしていて、ベッドネーム(名前・生年月日・年齢・看護上の注意点などが書いてある)をはがそうとしてふと見ると、Sさんの年齢は76歳であった。
しじゅうも上じゃん!!
Sさんはもちろん自分の年齢を知っているわけだから、私のことを56歳ぐらいだと思っていたということになる。
ちょっと!返す返すも失礼じゃなーい?
最近めっきり年老いてきたとはいえ、まさか56ってことはないだろうよ、と自分では思っているのであるが、他人から見たらいったいいかがなもんなんでしょうか?

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