軽く乗り物を冷やかした後、まだまだ時間は早いが並ぶように指示されたところを再度下見に行く。
バードマンというアトラクションの前なのだが、そこにはまだ誰も並んでいなかった。
しかし、今まさにバードマンにトライせんとしている一組のカップルがスタンバイ中であった。
このバードマンというアトラクションはすごいよ。
ハコも何もなくいきなり命綱みたいなものをつけられてかなりの高所まで上げられる。
そして上がるところまで上がったら、突然空中に放り出されるのである。
人間振り子状態。
「空を飛びたいという夢がかなえられる」などと書いてあるが、確かに私も空を飛んで見たいという夢を持つものの一人である。
しかし私の心に描く「空を飛ぶ」とは、たとえばタケコプターを使うなどして、のんびりと空中散歩をするという類のもので、こんな拷問系のものではない。
看板に描かれている絵は鳥のように両手を広げ空を飛んでいる男女の様子だが、実際あんなふうにできるのだろうか?と興味深くそのカップルの挑戦を見守っていた。
そのカップルは、どっちが女でどっちが男だったかよくわからなくなるほど上空まで上げられており、私とめぐは我が事のようにキャーキャー盛り上がった。
カップルはいきなりガクンと宙に放たれ、あとは慣性の法則に従うのみである。
でも最後に男のほうがかろうじて両手を上げ、鳥人間になっていた。
まさにバードマン。
私は最初は内心「やってみたいかも」と思っていないでもなかったのだが、実際にやっている人を見て完全に腰が引けた。
そして一言も「やりたい」とは言っていなかった私に対して、めぐは「私、絶対にいやよ!」と一言告げた。
私もいやです。
しかし2人ともバードマン見物にはすっかりはまってしまい、あまりやる人がいないバードマンながら4組ばかり見物してしまった。
やっぱりみんな看板の絵を心に描いてトライするのであろう。
最後にちょこっと手を広げてみるのである。
そんな様子がかなり面白く、めぐと宇部弁でアテレコしたり「手を広げろ!広げろ!おっ、やった!広げたー」などと、長時間にわたって楽しんだのであった。

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