あの方のご婚約?

そんなだから、紀宮様ご婚約内定の第一報を聞いたときは「サーヤ、ついに世間のプレッシャーに負けてしまったのか？」と失礼なことを思ったりもしたが、内定報道を見てすぐに、これは私が紀宮様に望んでいた、本当に好きで自分が選んだ人との結婚なのだとわかった。
なーんだ。おめでとうじゃないですか！
私は素直にうれしかった。
そうか。紀宮様から清子さんになるんだなー。
下々の暮らしもなかなか楽しいものですよ。いらっしゃい。清子さん。

そして、それから数日後ちぢと逢ったのだが、ちぢは紀宮様のご婚約がさびしくてたまらないと言う。
ちぢは紀宮様と同い年どころか誕生日までまったく同じである。
だからことさら紀宮様に深い思い入れがあったのだろう。
ご結婚内定の特番などを見ても泣けて泣けて仕方なかったと言っていた。
「えー、でもクロちゃんもいい人そうやし、お互いホントに好きみたいだから、私はよかったと思うけどな」と言った私だが、話しているうちにちぢの涙の本当の理由がおぼろげながらわかってきた。
ちぢは「美智子妃殿下とサーヤのこれまでの映像とかを見ていて泣けた」と言っていた。
「自分でもよくわからないけど・・・」と言っていたちぢだが、私にはわかる気がした。
去年亡くなったちぢのお母さんは、なんとなく美智子妃殿下に似ていたのだ。
品のある綺麗なお母さんであった。
きっとちぢは美智子妃殿下と紀宮様に、自分と亡くなったお母さんの姿を投影していたのではないだろうか。
そのちぢの心情を考えると私もなんだか泣けてくるのだ。

そんなわけで、私や私の周りの独身女どもにちょっとしたセンセーショナルを巻き起こした紀宮様のご婚約内定であったが、私は個人的に、清子さんになる紀宮様の今後にとても期待している。
ぜひともお幸せに、そして私自身がちょっと結婚に対して前向きな気持ちになれるような、そんなご夫婦になっていただきたいと底辺の辺りから望むしだいである。