いよいよツアー最終日。
朝起きた瞬間から悲しい。
佐賀から国分まで移動というだけでもけっこうな旅なのに、帰りは国分から宇部まで直帰。
しかもそのときはすべてが終わっている。
悲しい。
高速に乗る前にスタンドでガソリンを入れると、スタンドのお兄さんに「タイヤがめくれている」と言われた。
タイヤがめくれているとはいったい何か?
お兄さんは詳しく説明してくれたがぜんぜん意味がわからない。
ただブルーな気持ちに拍車をかけられただけである。
具体的にどうすればいいのか教えてくれよ。
その後山口ナンバーなのを見たのか、高速には乗らないでくれといわれた。
乗るに決まってるだろうが。
びびり屋の私たちはとたんに無口になった。
そして今度は打って変わって饒舌になり、「どうせっちゅうんじゃ!」とスタンドのお兄さんを毒づき始め、終いには「やっぱり佐賀とは相性がよくない」と佐賀の悪口を言い始めた。
そしてどうしてもどうしても不安だったので、高速に乗る寸前にSUZUKIでタイヤ交換をしてもらった。
SUZUKIのおっさんも見るなり「タイヤ交換ですね」というくらい、タイヤはめくれていたらしい。
だからタイヤがめくれるって何なんだよ。
国分に着くまではたどり着くことで頭がいっぱいだったが、いざたどり着くと途端に帰りのことが心配になる。
帰りの運転のことが心配なのではない。
それはきっとめぐがちゃんとやってくれる。
私が心配なのは帰りの気持ちのことなのだ。
移動に時間がかかったので、着いてご飯を食べるともう夕暮れ。
ただでさえ夕暮れ時はセンチな気分になりやすいのに、国分の夕日は格別に美しかった。
車の窓から夕日を見て私は「オレンジ色・・・」とつぶやいて号泣した。
泣く私をめぐが横でいつもより多めに毒づいていたが、いつもより多めなのは、めぐ自身も泣きたい気持ちであるからだと、私にはよくわかっていた。

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