コバヤシさんとお母さんは「お姉ちゃんがカナダに行っている間にベルちゃんに何かあったら・・・」と心配していたが、次の日にはベルちゃんは何事もなかったかのように元気を取り戻した。
その夜、国際電話をかけてきたお姉さんにそのことを告げると、心配していたものの「まあ、元気になったのならよかった」と言っていたそうだが、そのまた次の日にはまたぐったりして、とうとう夜になってベルちゃんは死んでしまったのだ。
お姉ちゃんが日本に帰って来るまでそのままにしておくわけにもいかず、しかも日本に帰ってきても、仕事があるため次の休みまで実家には帰ってこれないだろうから、コバヤシさんとお母さんで相談して、ベルちゃんをペット用の葬儀屋さんに頼んで火葬してもらったそうだ。
そして、その次の日に「明日、日本に帰るよ」と国際電話をかけてきたお姉さんにそのことを報告した。
お姉さんはショックを受けてはいたけれど「迷惑かけたね。ありがとうね」と言って電話を切った。
でも電話を切った後に悲しみがこみ上げてきたのだろう。
カナダの町を一人歩きながら(一人旅だった)泣いていたら、カナダの人が心配して何人も「どうしたの?」と声をかけてくれたと日本に帰ってきてから話していたらしい。
コバヤシさんは言った。
「お母さんはベルちゃんの世話をずっとしていたから、ベルちゃんに情が移って泣いてたんですけど、私はベルちゃんが死んだっていうことよりも、お姉ちゃんが遠い国で、一人ぼっちで道端で、カナダの人が思わず声をかけずにはいられないくらい大泣きしてたことがかわいそうで、そっちの方が泣けたんです」
たまらん話である。
その話を聞いた私は「いや、でも私そこまでは泣きませんでした」とコバヤシさんが笑ってしまうくらい号泣してしまい、これを機会に、徐々に病院でも私の泣きキャラは定着してしまったのであった。

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