おじいさんのお母さん?
2004年10月30日今朝、病室を掃除しているとドクターがやってきた。
そしてその部屋の患者さんのI屋さんに、「もう状態もかなりよくなりましたし、リハビリももう必要ないので、今後どうするか、退院して元いた施設に戻るか、療養病棟に移ってもう少し様子を見るか、お家の人と相談してみましょう」と言った。
なっにー!?
彼、I屋さんは今、私が一番かわいがっている、イチ押しの患者さんなのである。
I屋さんは92歳。
20日ぐらい前に心臓発作で救急車でやってきた患者さんである。
ここに来る前は老人ホームにいたらしく、一度そこの人が様子を見に来ていた。
しかし本人は自分が前にいたところを覚えていないらしく、「ここに来る前はどこにいたの?」と聞いても、しばらく考えたあと「さあ、忘れた」と言ってニコニコ笑うのである。
いつもI屋さんは「さあ、忘れた」と言ってニコニコしている。
その笑顔がとってもかわいくて、私はわざとI屋さんが忘れているようなことばかり質問するのだ。
毎日お昼に食事介助にやってくる娘さんは、どう上に見積もってもまだ50才そこそこで、遅い子供だったのだろう。
「I屋さん、この方はどなたですか?」
「娘です」
「お名前はなんていわれるんですか?」
「・・・さあ、忘れた」と言ってニコニコ。
娘さんが「マサエちゃんじゃろ。カヨちゃんの妹のマサエちゃんじゃろ」と言うと「ああ、そうじゃったか」と言ってまたニコニコ。
マサエちゃんが帰った後で「さっきの娘さん、なんていう名前やったかいね?」と聞くと、またニコニコ笑って「さあ、なんじゃったか?」
しかし、痴呆というカンジはなく、自分の名前や生年月日は正確に言えるし、訳のわからないことを言うことは一切ない。
ただ「忘れる」のだ。
そんなI屋さんはとてもかわいく、何をしても「ありがとう」と笑顔で言ってくれて、私はここが老人ホームでなく病院であることを悲しく思っていた。
元気になればI屋さんは退院して行ってしまう。
元気になってくれるのはうれしいけど、いつか私の前からいなくなってしまう。
そう思っていた矢先の、ドクターの来訪だったのである。
そしてその部屋の患者さんのI屋さんに、「もう状態もかなりよくなりましたし、リハビリももう必要ないので、今後どうするか、退院して元いた施設に戻るか、療養病棟に移ってもう少し様子を見るか、お家の人と相談してみましょう」と言った。
なっにー!?
彼、I屋さんは今、私が一番かわいがっている、イチ押しの患者さんなのである。
I屋さんは92歳。
20日ぐらい前に心臓発作で救急車でやってきた患者さんである。
ここに来る前は老人ホームにいたらしく、一度そこの人が様子を見に来ていた。
しかし本人は自分が前にいたところを覚えていないらしく、「ここに来る前はどこにいたの?」と聞いても、しばらく考えたあと「さあ、忘れた」と言ってニコニコ笑うのである。
いつもI屋さんは「さあ、忘れた」と言ってニコニコしている。
その笑顔がとってもかわいくて、私はわざとI屋さんが忘れているようなことばかり質問するのだ。
毎日お昼に食事介助にやってくる娘さんは、どう上に見積もってもまだ50才そこそこで、遅い子供だったのだろう。
「I屋さん、この方はどなたですか?」
「娘です」
「お名前はなんていわれるんですか?」
「・・・さあ、忘れた」と言ってニコニコ。
娘さんが「マサエちゃんじゃろ。カヨちゃんの妹のマサエちゃんじゃろ」と言うと「ああ、そうじゃったか」と言ってまたニコニコ。
マサエちゃんが帰った後で「さっきの娘さん、なんていう名前やったかいね?」と聞くと、またニコニコ笑って「さあ、なんじゃったか?」
しかし、痴呆というカンジはなく、自分の名前や生年月日は正確に言えるし、訳のわからないことを言うことは一切ない。
ただ「忘れる」のだ。
そんなI屋さんはとてもかわいく、何をしても「ありがとう」と笑顔で言ってくれて、私はここが老人ホームでなく病院であることを悲しく思っていた。
元気になればI屋さんは退院して行ってしまう。
元気になってくれるのはうれしいけど、いつか私の前からいなくなってしまう。
そう思っていた矢先の、ドクターの来訪だったのである。
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