本当に困る患者さん?
2004年9月23日O田さんの陰部洗浄が終わり、元のように紙パンツをはかせていると、O田さんの病衣のお尻の辺りが便で汚れているのに気づいた。
自分でポータブルトイレに座ったときに失敗してしまったのだろう。
一刻も早くその場を去りたかったが仕方がない。
私はハマダさんに替えの病衣を持ってくるように言い、O田さんをベッドサイドに立たせて汚れた病衣を脱がせようとした。
そのときである。
なんとジジイは私に抱きついてきたのだ。
とっさに振り払おうとしたが、なにしろ相手はただでさえ足元のおぼつかないジジイである。
無理に振り払うと転倒事故が起きてしまうかもしれない。
そんなことが頭を掠めたが、それよりも生理的嫌悪感のほうが勝ってしまい、危うくジジイを突き飛ばしそうになったそのとき、天の助け、ハマダさんが戻ってきてくれたのである。
ハマダさんは陰部洗浄のときの微妙な様子から、すぐ事情を察してくれて「なにするんですか!?」とジジイを後ろから支えつつ引き剥がしてくれた。
私は惨めな気持ちでO田さんに「私はO田さんの病気がよくなるようにお世話してるのに、こんなことをするんだったらもうO田さんのお世話はしません」と言った。
O田さんはその私の言葉に心から驚いていたようだった。
O田さんはどうやら私もO田さんのことが好きで、相思相愛だと思っていたようなのだ。
私のその言葉はO田さんにとてもショックを与えたようで、それ以来、退院までもう私を呼んだり、手を伸ばしたりすることはなくなった。
退院の日、ナースセンターで看護婦さんに挨拶をしているところに遭遇したので「お大事に」と声をかけた。
するとO田さんはうれしそうに笑い、私に手を差し出してきた。
一瞬ひるんだが手を差し出すと、短い握手をして「ありがとう」と言った。
そんなO田さんのいじらしい姿を見るとなんだか私のほうが悪いことをしたような気がしてつらかった。
そういう気持ちも全部含めて、O田さんは私にとって本当に本当に困る患者さんであった。
「O田さん、また入院されるんですね」
夜勤の看護婦さんにそう言うと「ああ、あの人なつこいかわいいじいちゃんねー。でも今回は検査入院だから短いよ。5日間ぐらいじゃない?」という返事であった。
退院のときは改心したかに見えたO田さんが、今回の入院で私にどんなアプローチをしてくるのか。
できれば私のことなんて忘れたような顔をしていてほしいと切に願う私なのだ。
自分でポータブルトイレに座ったときに失敗してしまったのだろう。
一刻も早くその場を去りたかったが仕方がない。
私はハマダさんに替えの病衣を持ってくるように言い、O田さんをベッドサイドに立たせて汚れた病衣を脱がせようとした。
そのときである。
なんとジジイは私に抱きついてきたのだ。
とっさに振り払おうとしたが、なにしろ相手はただでさえ足元のおぼつかないジジイである。
無理に振り払うと転倒事故が起きてしまうかもしれない。
そんなことが頭を掠めたが、それよりも生理的嫌悪感のほうが勝ってしまい、危うくジジイを突き飛ばしそうになったそのとき、天の助け、ハマダさんが戻ってきてくれたのである。
ハマダさんは陰部洗浄のときの微妙な様子から、すぐ事情を察してくれて「なにするんですか!?」とジジイを後ろから支えつつ引き剥がしてくれた。
私は惨めな気持ちでO田さんに「私はO田さんの病気がよくなるようにお世話してるのに、こんなことをするんだったらもうO田さんのお世話はしません」と言った。
O田さんはその私の言葉に心から驚いていたようだった。
O田さんはどうやら私もO田さんのことが好きで、相思相愛だと思っていたようなのだ。
私のその言葉はO田さんにとてもショックを与えたようで、それ以来、退院までもう私を呼んだり、手を伸ばしたりすることはなくなった。
退院の日、ナースセンターで看護婦さんに挨拶をしているところに遭遇したので「お大事に」と声をかけた。
するとO田さんはうれしそうに笑い、私に手を差し出してきた。
一瞬ひるんだが手を差し出すと、短い握手をして「ありがとう」と言った。
そんなO田さんのいじらしい姿を見るとなんだか私のほうが悪いことをしたような気がしてつらかった。
そういう気持ちも全部含めて、O田さんは私にとって本当に本当に困る患者さんであった。
「O田さん、また入院されるんですね」
夜勤の看護婦さんにそう言うと「ああ、あの人なつこいかわいいじいちゃんねー。でも今回は検査入院だから短いよ。5日間ぐらいじゃない?」という返事であった。
退院のときは改心したかに見えたO田さんが、今回の入院で私にどんなアプローチをしてくるのか。
できれば私のことなんて忘れたような顔をしていてほしいと切に願う私なのだ。
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