ステルベン?
2004年7月29日「ステルベン」という言葉がある。
ドイツ語で「死」を意味する医療用語である。
病院では、患者さんが亡くなることを、このステルベンを略して「ステる」という。
「○号室の○○さんがステった」とか、「昨日の準夜帯でステルベンあって」などというふうに使う。
私は病院で働き始める前から、本で読んでこの言葉の存在を知っていた。
しかし、知識はあっても、実際に患者さんが亡くなったときに、看護婦さんが「○○さんがステった」と言うのを聞いたときには、ちょっとビクッとした。
それは多分「ステった」という言葉の響きが、ちょっとコミカルだということに関係していると思う。
私は正直この「ステった」という言葉にものすごく抵抗があった。
カタカナ混じりのこの言葉が、なにか人の死を軽んじているように思えたのだ。
療養病棟にいたころは「ステる」患者さんはそんなにいなくて、あまり耳にする機会もなかったのだが、一般病棟に移ってからは(私は今年の2月に病棟異動になり、今は救急車で運ばれてきた患者さんが搬送されてくるような慌ただしい病棟にいるのだ)、俄然この「ステる」という言葉が身近になってきた。
自分の大事な人が亡くなったとき「ステった」という言葉で片付けられたらとても悲しいと思う。
もちろん職員間だけで使われる言葉なのでそんな心配はないのだが、私の父が亡くなったときも、処置に当たった看護婦さんたちの間では言われていただろう。
そう思うと、看護婦さん自身は死を軽んじる意味で使っているのではないことが分かっていてもとてもいやだった。
しかし、ある患者さんが亡くなったときに、申し送りでそのことを聞いた看護婦さんが「○○さん、ステったんだ・・・」と言ったときに、私の中のこの言葉に対する考え方は少し変わってきた。
亡くなる3日前ぐらいから、とてもとても苦しんでいたその患者さんを、労わるような優しい響きがその口調の中にあったのである。
それまではただいやだと思っていたが、要はなんという言葉で表現するかではなくて、その奥にある気持ちが大切なのだということにそのとき気付いたのだ。
当たり前のことなのであるが。
ドイツ語で「死」を意味する医療用語である。
病院では、患者さんが亡くなることを、このステルベンを略して「ステる」という。
「○号室の○○さんがステった」とか、「昨日の準夜帯でステルベンあって」などというふうに使う。
私は病院で働き始める前から、本で読んでこの言葉の存在を知っていた。
しかし、知識はあっても、実際に患者さんが亡くなったときに、看護婦さんが「○○さんがステった」と言うのを聞いたときには、ちょっとビクッとした。
それは多分「ステった」という言葉の響きが、ちょっとコミカルだということに関係していると思う。
私は正直この「ステった」という言葉にものすごく抵抗があった。
カタカナ混じりのこの言葉が、なにか人の死を軽んじているように思えたのだ。
療養病棟にいたころは「ステる」患者さんはそんなにいなくて、あまり耳にする機会もなかったのだが、一般病棟に移ってからは(私は今年の2月に病棟異動になり、今は救急車で運ばれてきた患者さんが搬送されてくるような慌ただしい病棟にいるのだ)、俄然この「ステる」という言葉が身近になってきた。
自分の大事な人が亡くなったとき「ステった」という言葉で片付けられたらとても悲しいと思う。
もちろん職員間だけで使われる言葉なのでそんな心配はないのだが、私の父が亡くなったときも、処置に当たった看護婦さんたちの間では言われていただろう。
そう思うと、看護婦さん自身は死を軽んじる意味で使っているのではないことが分かっていてもとてもいやだった。
しかし、ある患者さんが亡くなったときに、申し送りでそのことを聞いた看護婦さんが「○○さん、ステったんだ・・・」と言ったときに、私の中のこの言葉に対する考え方は少し変わってきた。
亡くなる3日前ぐらいから、とてもとても苦しんでいたその患者さんを、労わるような優しい響きがその口調の中にあったのである。
それまではただいやだと思っていたが、要はなんという言葉で表現するかではなくて、その奥にある気持ちが大切なのだということにそのとき気付いたのだ。
当たり前のことなのであるが。
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