そんなに食べたいか？?

そして、いただいたお菓子が箱モノだった場合が、最も預かった人の力量が試されるのだ。
見るからに不人気そうな菓子の場合（実名を出すのは失礼かと思うが、ぶっちゃけ朝鮮飴とか。あと干した夏みかんの砂糖漬けみたいなヤツも夏みかんが山口の特産物なこともありけっこういただく）は袋菓子のルールとだいたい一緒である。
「食べたい人は食べれば？」という扱いとなる。
それでも数がきっちり分けられるものの場合は「一人○個とってください」と書いたりもするが。
割り切れないときは「取った人は名前を書いてください」という一文も有効である。
その場合、全員が取った時点で残りは早い者勝ちとなる。
人気が高そうなもののときは、その場で分けて、輪ゴムでとめたり小袋に入れたりして1人1人の名前を書く。
そうしないと必ず「どうせ余りが出るから」と言って前倒しで余分に取るヤツが現れて、最終的に足りなくなるのだ。
しかしそれほどまでしても「イノウエさんは甘いものが嫌いだからどうせいらんやろ」などと言って勝手に食べる輩もいるので、今のところ確実な方法はまだ見つかっていない。
そして預かったものの義務として「お礼を促す」というのもある。
「○○さんにお礼を言っておいてね」と言ったり、紙に書いたりしておくのである。
最初に言われたとき、正直言って私はムッとした。
人から何かもらったらお礼を言う、それは当たり前のことである。
いい大人が、そんなことをいちいち人から指図されたくない。
しかし、かつて、以前いた某補助看に渡したときだけ誰からもお礼を言われないことに疑問を抱いたある家人さんが、他の人に確認したところ、誰もそんなものはもらってなくて、結局その人が一人でガメていたということが判明し、それ以来、みんな自らの保身のためにお礼を促す風習ができたのだという。
それを聞いて、一応納得はしたものの、やっぱり私自身は抵抗があり、人にお礼を促すということはしていなかった。
こっちが促さなくったって自主的に言うさ。
そして、お礼を促したから万全かというと、実はそうではないという事件が起きたのである。
（実はここからが本題なのであった）