北沢音楽祭から山口に帰ってきた私は、2つのことに夢中になっていた。
ひとつは7月17日にサザンクロスにやってくるブラックボトムを迎える準備である。
準備といっても、ただ「あー、もうすぐブラックボトムが来る」とそわそわするのがそのほとんどであるが。
後は、チケットの手売りの最後の追い込みと、来てくれる友達に日時の念押しの電話をしたり、2年前に来たときのことを思い出してうっとりしたりと、たいしたことをしていないわりに心中は大忙しであった。
そしてもうひとつは、ネットオークションで中古のSAXの出物をチェックすることであった。
そう、私はSAXを購入する気マンマンになっていたのだ。
私が今まで漠然と「やってみたいな」と思っていた楽器はまずやっぱりSAX、それからブルースハープ、ウクレレ、三線などである。
中でもウクレレに関しては、過去に何度か楽器屋で「これください」と言いかけたことがあるほどである。
でもこの前のパレードに触発された今の私にはやはりSAX。
逆に言えば、今SAXを買わなければ、きっと一生買わないだろうと思った。
そしてSAXならばやっぱりIGGYと同じテナーであろう。
そう思い、ネットオークションで、とにかく安いSAXを探した。
ものになるかどうかわからないし、お金もないので本当に安い初心者用の中古でいい。
要するに雰囲気だけ掴めればいいのである。
そして、やってみて「もっといいSAXがほしい」と思うくらい上達したら、そのときの自分に買える程度の「いいもの」を自分の目で選んで買えばいい。
そう思い、私は初心者用の教則本やビデオがセットになった安い練習用のSAXを、更に中古で安く落札した。
私はこうと決めたら仕事が早い。
北沢音楽祭のパレードから1週間もたたないうちに、私はいそいそとSAX代金を振り込んでいたのである。

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