夜の完全犯罪

前にも書いたが、私の勤務先のシフトの希望提出は毎月10日までである。
7月の希望を6月10日に出したのだが、私にはとても気になっていることがあった。
7月の私の「どうしても」なイベントは5・6日の北沢音楽祭、それと17日のブラックボトムinサザンクロスである。
17日は最悪夜勤でなければいいのだが、希望を入れておかないと夜勤になる恐れがあるため、手堅く休みを希望しておいたのである。
これで希望の3つを全部使い果たしてしまったわけだが、実は北沢音楽祭の日は、翌日の朝イチの飛行機で帰るため7日は4番勤務（10時から）以降でないと間に合わないのだ。
しかし、それを入れると希望が4つになってしまう。
なのでこの点に関しては運を天に任せることにした。
4番、または夜勤入りならOK、1番、または日勤なら・・・代わってもらうか（っていってもけっこう困難なことなのだが）、あきらめて音楽祭のライヴは観ずにパレードだけで帰るかである。
だがそんなことは絶対に避けたい。
ということで、私は7月7日の勤務がとても気になっていたのである。
今日は夜勤の入りだった。
7時に病院から支給されるご飯を食べ、7時半から準夜の看護婦さんが休憩に入ると30分だけナースステーション内は私一人になる。
私が提出物（車椅子移乗についてのレポート）を出そうとすると、提出箱の横に組みかけの勤務シフトがあった。
主任は深夜勤で入るので、そのときに続きを組もうとおいて帰ったのであろう。
気になる私の7日の勤務はなんと1番（6時から）であった。
あーれー！！
しかし、今はまだ組みかけなので、幸い鉛筆書きである。
私はメモ紙に主任の筆跡に似せて4を書く練習をした。
それは特訓と呼んでもいいほどであった。
メモ紙はすぐに4で埋め尽くされた。
イケる！
私の心の中におぼろげながら自信のようなものが湧きあがった。
そして4番だったオノさん（これは別に希望ではない）の4を消し、1に書き換え、そして自分の4を消し、注意深く主任の筆跡を真似て4と書きこんだ。
自分でもびっくりするぐらいうまくできた。
消し跡は確かに残っているが、主任自身が組みながらああでもないこうでもないと、書いたり消したりしているので不自然さはまったくない。
こうして私は、準夜勤の看護婦さんが食事をしている間に、完全犯罪を成立させたのである。
やった！