今日は夜勤明けで美幸ちゃんと「チルソクの夏」を観に行った。
「チルソクの夏」とは下関を舞台にした映画で、全国公開はされていないものの、地元山口ではけっこう盛り上がっているのだ。
ちなみにチルソクとは七夕の意味。
この映画のキャッチコピーは「ブチ会いたい」。
やはり私にとっては「すごく会いたい」よりも、ふだん自分が使っている言葉「ブチ会いたい」の方が、会いたさがストレートに伝わってくる。
私自身の「ブチ会いたい」人に会えなかった頃のことなどを思い合わせると、このコピーを聞いただけで涙がにじんでくるほどだ。
1977年、下関市で姉妹都市釜山との親善事業として、毎年夏に開催される関釜陸上競技大会に出場した長府高校の陸上部員の郁子が、同じ高跳び競技の韓国人の男の子、安くんと出会い、お互いに淡い恋心を抱く。
そして来年の大会できっとまた会おうと再開を約束し、二人は文通を続ける。
そして郁子の父、安くんの母にそれぞれ反対を受けながらも「ブチ会いたい」とお互いのことを心に描きながら、郁子は韓国語の勉強をし、安くんは日本のラジオを聴き日本の歌を覚えた。
高校生にとって1年は長い。
そして、今のように携帯もメールもない。
韓国では日本語の歌を歌うことさえ許されてなかった時代の話である。
今の何倍も日本と韓国は遠かった。
さぞかし、ブチ会いたかったであろう。
しかし、そんな2人の恋の行方をここで追っても仕方がないので書かない。
実際私も映画を観て「そんなことまで教えてくれんでも!そのあたりは私の想像に任せてくれよ」という部分がいくつかあったし。
印象深いのは郁子の父役の山本譲二である。
郁子の父は流しをしていて、当時ぽつぽつと出てき始めたカラオケに圧され、あまり仕事のない日々であった。
そしてあるとき、飲み屋のカラオケの機械を壊したかなんかで、チンピラに囲まれ、郁子の目の前で商売道具のギターを折られてしまう。
当時郁子はちょうど経済的事情によって大学進学をあきらめようとしており、家計が苦しいにもかかわらず、他の仕事をしようとしない父親に反発していたのだが、そんな父の姿を目の当たりにし、自分のおこづかいを貯め、安いギターを買って父親に「流しを続けて」と言う。
そして郁子からギターを受け取った譲二がかみしめるように歌う「雨に咲く花」が素晴らしいのだ。

♪およばぬことと 諦めました
 だけど恋しい  あの人よ
 侭になるなら  いま一度
 ひと目だけでも 会いたいの

郁子の気持ちにも父の気持ちにも絶妙にシンクロしているこの曲、このシーンがこの映画の中で私が一番泣いたシーンである。
この映画が全国公開されて、もっとたくさんの人に観てほしいなあと思った。


そして夜はサザンクロスで佐々木さんのライヴ。
なかなか濃い夜勤明けの1日であった。

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