「竹清」でうどんを食べたその足で、次のうどん屋へ。
次のうどん屋は昨日下見をしていた「讃岐屋」。
だいたいうどん屋はお昼2時ぐらいでお昼休みに入ってしまうことが多く、時間的に考えても讃岐屋が今回のツアーの最後の店になりそうである。
この店は私の希望店であった。
なめこおろしうどんが絶品だと恐るべき讃岐うどんに書いてあった。
お店のおじさんもとても人がいいということで、旅のフィナーレを飾るにふさわしい。
しかしビキはもうおなかがいっぱいになっており(実は朝食がバイキング形式で、しかもいいホテルに泊まったためとてもおいしく、私たちは朝食も結構おなかいっぱい食べていたのだ)、讃岐屋ではなにかオプションか飲み物だけにすると言った。
讃岐屋もお昼の営業時間は2時までで、もうかなり2時近い時間になっていたので、私たちは小走りに店に向かった。
もしかしたらもう断られるかもしれないけど、それでも行くだけ行ってみよう。そんな気持ちであった。
私たちが店にたどり着いた時間はホントに2時直前であった。
一応営業中の札はかかっているものの、恐る恐る扉を開け「まだ大丈夫ですか?」と聞いてみると「いらっしゃいませ。どうぞどうぞ」とものすごく歓迎され恐縮した。
メニューを見るとオプションはおろか飲み物もビール以外なかった。
ビキは困って「何か飲み物はないですか?」と聞くと「すいません。ビールしかないんですよー」という返事が返ってきて、それでおじさんは私たちの事情を察してくれたようで、私が注文したなめこおろしうどんを黙々と作って出してくれただけで、ビキに注文を促したり、何も注文しないビキにいやな顔をすることも一切なかった。
私が一口食べ始めたときにおじさんが一人ガラガラと戸を引いて「もうだめなんだろ?」と聞いた。
するとおじさんはまったく気のないカンジで「はぁ、だめですね」と言った。
私たちに対する愛想のよさとは正反対で驚いた。
たぶん私たちが入っていったときにさりげなく店を出て行ったおかみさんが札を準備中に替えたのだろう。
なめこおろしうどんは冷たいうどんになめこ、大根おろし、貝割れ大根がたっぷり載っており、だしにはレモンの酸味が利いていて、さっぱりして、麺ももちもちつるつるで、この旅で食べた中で一番のおいしさであった。
おじさんに遅くに来たこととビキが何も注文しなかったことを詫びると笑顔で「何をおっしゃいます」と言って、とても気持ちよく送りだしてくれた。
店の外に出るとやはり札は準備中になっており、準備中の札がかかっているにもかかわらず入ってくる輩には厳しい応対をする、そんなおじさんの気難しいが筋の通っているところがますます好きになり、この店で旅を締めくくれたことをとてもうれしく思った。
アップダウンの激しい旅だったが、終わりよければすべてよしなのである。

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