イヤなババアのせいでますますテンションが下がってしまった私たちは、すっかり自暴自棄になっていた。
この旅は間違いだったのではないか?
別に讃岐うどんなんて、わざわざ食べにやってくるほどのものではなかったのではないか?
そんな沈んだ気持ちで、それでもとりあえずうどんを食べようと適当に入ったのが「狸屋」であった。
ビキはてんぷらうどん、私はざるうどんを頼んだ。
ここはお店の人の応対もきちんとしており、愛想もよく安心できる。
こんな客商売としてごく基本的なことで、ここまで癒されるほど私たちはやられていた。
ほどなくして運ばれてきたざるうどんを一口食べた私は目をむいた。
「これこれ!私が讃岐うどんに求めていたのはこれだったのよぅ!」
ものすごくおいしい。
外はもちっとしていて、噛むと歯を軽く押し戻すような弾力があり、その後ぷつっと切れる。
喉を通るときはぬるっとしていて、飲み込まなくても自分から喉の中にうねうねと入っていくかのようである。
半透明にきらきら光る麺の白さは、赤ちゃんの肌のようである。
もう一玉食べたいぐらいおいしかったが、これからうどん学校が控えている。
うどん学校でも実食があるのだ。
こうなると、うどん学校で自分で打ったうどんは、きっともっともっとおいしいんだろうと希望に満ちてくる。
つくづく簡単な女である。
その後うどん学校に行き、受付のババアの応対にまたややブルーになり、お土産屋で会ったグループ観光のババア連中のずうずうしさにやられ、うどん学校の時間待ちの、一緒に受講するらしいカップルの、なんか歳くってるのにいちゃいちゃ甘々なカンジも気に入らず、ダラーッと、グダーッとしながら開講を待っていたのであった。
つくづくこの旅はアップダウン激しいぜ。

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