結局、私は小海老のかき揚げと玉子、ビキもなにかのかき揚げにしたようである。
お店の人の愛想もそう良くなく、店内もシーンとしている。
正直「あれ?」と思ったが、その不安を吹き飛ばす勢いで元気よく「いただきまーす!」。
はっきり言って麺が硬い。
讃岐うどんの麺は硬いもんさとあなたは言うかもしれない。
しかし、私の望む讃岐うどんの硬さとこの麺は別物である。
私の望む麺は真ん中には軽く歯を押し戻すような歯ごたえを持ちつつ、周りは半透明でつるつるというものである。
しかしこの麺は真っ白。透明感は一切ない。
はっきり言って期待はずれであった。
普通に地元とかで食べるのならばこのくらいのレベルで充分である。
だしはおいしいし。
でも、わざわざ高松まで来たんだから「うどんってこんなにおいしかったのー!!私が今まで食べてたうどんっていったいなんだったの?」と思いたかったのである。
私が軽く失望していると、ビキが「これ・・・、海老のてんぷらかと思ったら違った」とつぶやいた。
私はビキの食べているかき揚げの中身が海老でないことは知っていた。
なぜなら私が食べているのが海老のかき揚げだからである。
私のものとビキのものはあまりにも違う。
それならばビキの食べているものがなにかと問われればわからない。
一口食べさせてもらうとそれは「金時豆のかき揚げ」であった。
かき揚げの具が金時豆。
もちろん甘い。
それは私にとって初めて見るものであったが、讃岐うどんのトッピングとしてはわりかしポピュラーなものらしく、他の店でもしばしば見うけられた。
ビキが嫌がるほどまずいとも思わなかったが、わざわざ食べたいとも思わないな―、金時豆のかき揚げって。
そんなカンジで記念すべき本場ファーストうどんは、私にとっても、ビキにとってもやや悔いの残るものとなってしまったのである。

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