O川さんの黒糖飴?

2003年4月11日
いろいろ考えた末、翌日は黒糖飴を持っていくのをやめた。
なぜならO川さんと同室の患者さんは2人とも透析患者さんで、その日は透析日ではなかった。
逆にいうとそのまた次の日ならば、O川さんの部屋は、半日O川さん1人っきりになるのである。
それなら断然そのときに渡したほうがいいと思ったからである。
そして丸腰で6時に出勤した私は、顔拭き用のおしぼりを配っていた。
O川さんの部屋に入ると、そこにO川さんはいなかった。
驚いて夜勤者に「O川さんは?」と聞くと、明け方に急変してICUに入っているという。
ICUに行ってみるとO川さんは酸素が入っていて、モニターもついていた。
黒糖飴どころではなくて、私は驚いた。
それからO川さんはちょっとだけよくなっては、またじわじわじわと悪くなるという状態を繰り返し、とうとう黒糖飴を食べれるほどには回復せぬまま亡くなってしまった。
O川さんが亡くなってしまった日、私は休みで、次の日に出勤するとICUは空き部屋になっていた。
補助看日誌を見ると、O川さんは死亡退院したと記入してあった。

うちの台所には、今でもO川さんのために買ってあった黒糖飴とむき甘栗の入った袋が置いてある。
食べる気にも、捨てる気にもなれずに、いつまでもずっとそこにある。
本当にどうしたらいいのかわからない。

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