くらベルト―オオサワ他編―

続いては17歳のオオサワさんである。
17歳ならではのかわいらしい幼稚さと、そもそもカーデックスというものがよくわかっていないのだと思われる。
「『りんご』がおいしい！！と言って食べていました」
』はおいしい！！の後につけるべきでは？
「声かけをすると反応がありました」
だからどんな反応があったかを知りたいのである。
「ありがとうと言ってくれて私もうれしかったです」
アンタの気持ちはこの際どうでもいいのだ。
「床頭台の上は思ったよりきれいでした！！」
いや、アンタがどの程度だと思ってたかがこっちにはわからないから。
「すごく足を動かすのでやりにくかったです」
もはや単なる愚痴である。
オオサワさんのカーデックスはこんなカンジのオンパレードである。
他にも特集するほどでもないがちょこっと間違っている人のことも書いてみよう。
「ベッドボトル」
これは看護学生さんが書いたものである。
とてもちゃんとした人なので、これはうっかりミスだと信じたい。
もちろん正しくはペットボトル。
面白いなあと思うのは、4階病棟では（他の病棟でもそうなのか？）ベッドのことを「ベット」で統一されているのだ。
これは私以外が全員そう書いている。
補助看も、看護学生さんも、果ては看護婦さんまで全員ベット。
私はどう書くべきか悩んだが「ベッド」を貫かせていただいている。
ベッドに関しては頑ななまでに「ベット」なくせに、ぺットボトルのことを間違って「ベッドボトル」。
皮肉なもんである。
そしてイノウエさんがいつも間違っているのが「爪切り」。
絶対に「瓜切り」になっている。
これはありがちだがかなり恥ずかしい間違いである。
なぜなら瓜も切れるからである。
自分の本日の業務予定に「瓜切り」というマグネットがついていると、つい瓜を切っている自分を想像してしまうのだ。
国立大出のイノウエさんが自分の間違いに気づくのは果たしていつか。