嫌われる患者さん

今の仕事をはじめて、つくづく思うことがある。
私がもし入院することになったら、さぞかし嫌われる患者さんになるであろう。
なぜなら私は嫌がられる患者さんの要素をすべて併せ持っているからなのだ。
いい子ぶっているわけではないが、私が嫌だと思うことと、他の補助看の嫌だと思うことは全然違う。
私が嫌だと思うことは、たとえば先日のY田さんである。
尻を拭くことは嫌ではないが、尻を拭くのを嫌がっていると思われるのが悲しい。
見くびってもらっちゃ困る。
まだ言ってる。
そしてここでひとつはっきりさせておきたいのだが、私には嫌いな患者さんはいない。
この仕事が決まったとき、私は「仕事に慣れたらきっと気に入らない患者さんにチクッと意地悪したりしてしまうんだろうな―」と心配していた。
私は前の会社では嫌なお客さんには「思い知れ！」とばかりに嫌なオーラを放ちたいだけ放っていたのだから。
しかし、いつまでたっても私に嫌いな患者さんはできなかった。
この患者さんのこういうところが嫌だなと思うところはたまにあるし、意思疎通がうまくいかなくて困ったなと思うこともある。
しかしその患者さんトータルで見ると「好き」なのだ。
ひいきにしている患者さんもいるし、全ての患者さんが同じぐらい好きというわけではない。
でも患者さんはみんな「好き」なのだ。
しかし他の補助間たちが患者さんを嫌がる理由はもっと単純なものである。
簡単に言うとめんどくさいヤツが嫌いらしい。
体重が重い・・・オムツ替えや車椅子への移乗のときに困る。
すぐ喉が乾く・・・ベッドを起こして飲ませるのが面倒だし、尿量が増える。
頻尿・・・オムツ替えが面倒。
寝相が悪い・・・オムツがずれて病衣やシーツに汚染する。
間食が多い・・・食事制限がない患者さんなら問題はないが、寝食いのためベッド周りが汚れる。
ざっとこんなカンジである。
私に言わせれば、「しょうがないやんそんなん。自分でできないから私たちがいるんじゃん」というカンジのことなのだが、おばさん補助看連中は「もう、ホントあんたは重たいねえ。ちょっとは痩せんにゃ！」と言いながら患者さんの尻をピシャリと叩いたりする。
ありえない。
しかし、体重が重くすぐ喉が乾き、頻尿且つ1回1回の尿量が多い、寝相が悪く寝食いの女王の私が入院したとしたら、いったいどんな扱いを受けるのだろうか。
その上「嫌な顔するな！それがおまえらの仕事だろうが！」なんて憎まれ口まで言っちゃいそうだしなー。
ますます取るところのない私である。
健康には留意しよう・・・。