今日Y田さんにショックなことを言われたので聞いてほしい。
Y田さんというのは70代後半の男性患者さんである。
わりかしわがままで、文句の多い患者さんで、Y田さんのみに有効な「Y田ルール」というものまで存在している。
おしっこは尿器で取り、大のときはポータブルトイレ使用の患者さんなのだが、ベッドからポータブルトイレの移乗時にふらつきがあるために、ナースコールで呼んでもらって、見守りの上で用を足してもらっている。
今日私がたまたまコールを受けたのでY田さんの部屋へ向かうとトイレに座りたいということだった。
Y田さんがベッドから降り、向きを変えてトイレに座るときに、後ろから支えてズボンとパンツを下ろすというのが私の役目である。
患者さんが自分でできることに関しては見守りのみというのが基本的姿勢である。
そして用足しを終えたら、今度は前から支えてすばやくズボンとパンツを上げる。
Y田さんが用を足し終えるのをボーっと待っていたら、そのうちごそごそとお尻を拭き始めた。
おっ、終わったか?
何度かごそごそと拭いてから「もう便はついてないかね」と聞いてきたのでお尻を見てみるときれいに拭けていた。
「うん、きれいに拭けてるよ」と言ってY田さんをベッドに促した。
そして寝かせて布団をかけているときにY田さんはこう言った。
「やっぱりあんたでも人の尻を拭くのはいやなんじゃなあ」
なにおぅ!?
見くびってもらっちゃ困る!
私が日に何回人の尻を拭いてると思ってるのだ。
自分の尻を拭く回数より人の尻を拭く回数のほうがよっぽど多いぞ。
そもそもそんなことがいやならこの仕事についてないから!
Y田さんは自分で尻を拭けるのだから自分で拭いたらいいのだ。
「ついてないかね?」と聞かれたときについていたら、私は拭いていただろう。
しかしきれいに拭けていた。
自分でちゃんときれいに拭けたね。よかったね。と思っていた気持ちに水を注されたようで悲しかった。
どんなにわがままを言ってもいい。
ラジカセにテープが入らないと言う理由でナースコールをしてもいい。
でも、あんなことだけはもう言わないでほしい。
私は「人の尻なんて拭きたくない」なんて思っていない。
そして「人のいやがることでも進んでやります!」なんて思っているわけでもない。
ただ、誇りを持って仕事をしているのだから、その誇りを傷つけるようなことを、よりによって患者のアンタが言わんとけよ・・・と思って悲しかったのである。

コメント