K石さん急変

2003年1月22日
先日、出勤して食事量の表を何気なく見た私は、K石さんの欄を見て驚いた。
食事量の表とは患者さんの朝・昼・夕の食事摂取量を一覧しているもので、全量摂取は10、後はご飯とおかずに分けておかず8割摂取ご飯7割摂取ならば、おかず/ごはんの順で8/7などというふうに記入する。
経管栄養の人は自分の意思とは無関係に、決まった量を機械的に注入されるので、毎日必ず朝10・昼10・夕10であるが、K石さんは経口摂取(普通に口から食べる)にもかかわらず、毎日3食必ず全量摂取で、表だけ見るとまるで経管栄養の人のようである。
毎日3食必ず全量摂取というのはなかなかできることではないと思う。
病院の食事というのは本当にいろいろなものが出るから好き嫌いがまったくない人でなくてはまず無理だし、何より食べる気持ちと体調が常に伴っていなければできないことである。
私は常に全量摂取のK石さんをひそかに尊敬していたし、このまま、ずっと元気で全量摂取し続けて欲しいと願っていた。
しかし、そんなK石さんのその日の朝の摂取量は3だったのである。
なんでも高熱が出ており、本人は腹痛の訴えをしているというのだ。
それが合図のようにK石さんは急変し、バイタルサインも安定せず、うわごとを言いつづけ、バルンカテーテルで導尿がされるようになってしまった。
4階病棟でしばらく検査を続けていたがよくならず、私もつい、もしもの事を考えてしまったりしていたのだが、ついに今日、6階病棟に転棟になってしまった。
K石さんが元気になってまた4階に戻ってきて、笑顔で全量摂取する姿を見せてくれる日を私は待っている。

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