行かずの方です

2002年10月14日
私はあんまり年齢通りには見られない方である。
実年齢は33歳であるが、若く見られたり老けて見られたりが激しい。
私服が若作りなので、私服のときは歳より若く、制服のときは老けて見られることが多い。
同じ補助看として働く同僚の中にも、私を若く見積もるもの、年寄りに見積もるもの、さまざまである。
ある人に前職について聞かれたので、正直に以前働いていた会社名と「ご存知のようにそこが潰れてしまったので・・・」という話をした。
すると、「今不況のさなか、がんばって就職したのにそんなにすぐに潰れてしまって気の毒ねえ」という答えが返ってきた。
いやいや、私はバブル絶頂期の入社である。
高校しか出ていないのに、超売り手市場でらくらく就職し、のほほんと14年間も働いてきたのだ。
そう告げると「え?何歳?」とそこで初めて聞かれた。
この人はきっと私のことをかなり若く見積もってくれていたのだろう。
そうかと思えば同僚のタケイさん(推定60過ぎ)にはかなり年寄りに見積もられたようである。
先日タケイさんに「アンタはダンナさんはおっての?」と質問された。
「いいえ、いません」と答えると、その人は「じゃあ、私と一緒やね。タカノさん、この人も後家さんって―ね」」と傍らにいた人に呼びかけた。
私は慌てて「いえ、私は“行かず”の方です」と大声で言い、看護婦さんにたしなめられた。
するとたけいさんは「ああ、そうかね。じゃあK田さんと一緒やね」と言った。
そのときはK田さんというのが誰のことだかわからなくて、「ああ、そういう人がいるんだなあ」と思っていたのであるが、よくよく考えるとK田さんというのは患者さんなのである。
片麻痺の患者さんなのだが年齢は66歳である。
私の倍である。
自称処女で、オムツ替えのときに見る局部はとてもきれいで(ホントにきれいでピチピチ。腰周りだけが別人のようなのだ)、きっと本当に処女なのだろうと思われる。
確かにK田さんは結婚歴がない。
私も結婚歴がない。
だからといって、私の未婚とK田さんの未婚を「一緒」と言われてしまうのには抵抗がある。
タケイさんの目には、私は、もう今更絶対に結婚はない年齢に映っていたのであろうか?
そうだとしたら、私は本当は「行かず」ではなく「行けず」なのかもしれない。
なんかいやだなあ。

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