今日はりえちゃんとピンクブルータスのライヴ。
ライヴが始まるのは夕方からなのだが、りえちゃんの泊まっているホテルが10時チェックアウトなので「10時に迎えに行くね」とメールしていたのだ。
うちからそのホテルまではごく近くなので、10時3分前に家を出た。
家を出て45秒後ぐらいたった頃だろうか。
30メートル前で着飾ったババアがこっちに向かって手を上げていた。
慌てている様子なことだけはうかがえる。
私はスピードを緩め、ババアの横に車をつけ窓を開けようとした。
するとババアはサッとドアを開け乗り込んできて言った。
「B会館まで乗せてもらえますぅ?」
乗せてもらえますぅって、もう乗ってるじゃん。
ババア曰く、車に乗っていこうと思ったらバッテリーが上がっていて、タクシーをよんでも来なかった、らしいが、ここからB会館は歩いても10分ぐらいである。
なんでそんな小さいことであそこまで慌てた顔ができるのだろうか。
しかし私は無類のお人よしである。
りえちゃんをちょっと待たせてしまうなあと思いつつもB会館に向かった。
ババアは「すいません、すいません」と腰は低いながらも、「そこを曲がったほうが早いと思うわ。すいません」と口出しをしてきて、私の顔を引きつらせた。
幸いババアとのドライブは2分ほどで終了し、B会館の前で、顔も見ずに「ホントにありがとうございました」と言って走り去ったババアと生涯の別れを遂げた。

私は以前にもヒッチハイクされたことがある。
今日のババアに優るとも劣らぬ強引さで私の車に乗りこんできたおっさんは「う、宇部空港!大至急!」と赤い顔で言った。
私ゃタクシーの運転手かい!
私が驚いているとおっさんは「○時○分の飛行機に乗るんじゃ。あんたは飛行機に乗ったことがないからわからんかもしれんけど、飛行機は電車と違って駆け込み乗車はできんのじゃ。余裕をもって行っちょかんといけんのじゃから」と私が飛行機に乗ったことがないと勝手に決めつけた。
しかしおっさんはタクシーが来ないことに気が動転していただけの単なる紳士だったらしく、時間が経つにつれ落ち着いてきて、私に無礼を詫びた。
空港についたときにはもうすっかり紳士になっていて、中折れ帽を取り、私に深々と頭を下げて「本当にありがとうございました。おかげさまで助かりました」と言い、5000円くれた。
空港までは、タクシーで1500円ぐらいの距離である。
私は驚いて固辞したが、おっさんが「本当に助かったのだから受けとって欲しい」というのでありがたく頂戴した。
あのおっさんはよかったけど、今日のババアは最悪!
そう思いながらりえちゃんの待つホテルへと大急ぎで向かった。

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