ライヴが始まるので外に出て、ささっと私なりのベストポジションにつく。
マーチングでメンバーがステージへ。
なんとか無事に始まって、やれやれというカンジである。
ステージに上がってコーくんが「みなさんこんにちは―!(そう言えばコーくんは時間帯に関係なく概ねこんにちはと言う。ある意味ギョーカイ用語か?)ブラックボトムブラスバンドですー!」と言ったとき、私は飛び上がった。
私の左真横がスピーカーだったのである。
ホントに真横だったので、下手したら鼓膜が破れていたかもしれないぐらいに、耳に「ボカン!」と声の塊が飛び込んできたのだ。
それ以来誰かがマイクでしゃべるたびに手でそっと耳をガードしていたが、それでも肩や腕をボンボンと押されるぐらいの勢いで音が響いていた。
今日は見事に私の好きな曲ばかりやってくれる。
私の大好きな「センチメンタルディスコ」をやっている頃、また激しい雨が降ってきてものすごくテンションが上がった。
野外で雨降るとうれしくない?私だけ?
またすごい雨なのにお客さんみんな去らないのだ。
うれしいねえ。やるやん山口県民。
私たちの他にも明らかに「観る気」でやってきているらしきお客さんもいっぱいいて、そしてそんな私たちに「門司の皆さ―ん!」を連発するコーくんであった。
コーくん、門司はあっち。海の向こう。
ここは下関ですよ。門司ではなく。
ブラックボトムのライヴが終わるとすかさずトイレに走る。
けっこうな行列ができていて時間を食ってしまった。
慌てて戻るとステージ近辺にはもうメンバーが。
ミスターダンディ上田さんももう来ているではないか。
私がベストポジションにつくのを待ったかのようなタイミングで(決して待っていない)、ライヴスタート。
マーチングが始まるときにコーくんが何か言いながら、私にミネラルウオーターを差し出したので、一瞬くれるのかと勘違いしてしまい、そしてまた「やった!」というような顔をしてしまっていたのだろう。
コーくんが、飲まれちゃたまらんとばかりに軽くステージを指差した。
ああ、ステージに置いてくれってことね。
危うく飲んでしまうとこだったよ。
今日のライヴの泣きどころは上田さんのMCにあった。
「門司と下関という、海を挟んだ2つの町が力を合わせて1つの音楽イベントを作り上げたのは素晴らしい」という話。
私は力を合わせるとか、心をひとつにするとかいうことに極端に弱いので気をつけて欲しい。
でもホントにすごいいいことだなって思ったのさ。
What a Wonderful World」で、上田さんがお客さんに握手を求めると、後ろにいた若い女の人が前に出てきて手を差し出した。
それに応えて握手をしながら、上田さんはその人に「ビューティフル」と言った。
何回か上田さんの「ビューティフル」を聞いたことがあるが、私から見てもホントにビューティフルだなあと思う人にしか言わない。
それは姿形ではなく、目の輝きだったり、心からライヴを楽しんでいる様子だったり、上田さんと握手をしてもらってうれしそうにしている気持ちだったりする。
今宵の彼女もとてもビューティフルで、また私の目は潤んできてしまったのであった。

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