セッションが終わると、私は走って後ろに戻り、「MONKYカッコよかった!」と叫びビキの胸で号泣した。
白いタオルハンカチはアイラインやマスカラによる黒い涙でもはや真っ黒であった。
ナツヒロコンビもMONKYのカッコよさに唸っていた。
私は今のセッションでMONKYがいかにカッコよかったか熱弁を振るいつつ、鏡を取り出して目の周りをチェックしていた。
しかし、心配しなくても私の目の周りの黒いものは全て流れきった後であった。
そのうちにMONKYが出てきたので、私とナツコちゃんは尻尾を振って走って行った。
「MONKY!!」
MONKYカッコよかったー!
私セッション大好きー!
すっごい楽しかった―。
私、MONKYのこと好きになった―。
数々の胸の内を披露しながら、「見て、この黒い涙を!」とタオルハンカチを広げて見せた。
かなりギョッとしていた。
そして、化粧が取れて寂しげになった目元のことも忘れ、写真をねだった。
あー、うれしい。
泣いたらおなかも減ってきたし、いい時間になってきたので、青い部屋を後にすることに。
ちょうどそのときにメンバーも帰るところだったので、「ばいばーい!!」と元気いっぱい手を振り、みんなで「いやー、でもMONKYほんっとカッコよかったよねー」と言い合いながら、明け方の渋谷を闊歩した。
めしや丼でサバの煮付け定食を食べながら、さっきの楽しかったセッションと、これから山口に帰る自分のことを考えると、寂しさのあまり気が遠くなりそうだった。
「帰るの、寂しいね」
つぶやいた私にビキは言った。
「うさぎは寂しかったら死ぬんよ」
こらえていた涙が溢れてきた。
「私がうさぎやったらもうとっくに死んじょる・・・」
そういってまた私はめしや丼の店内で号泣した。
今度はファンデーションが崩れ落ちて、ハンカチを肌色に汚した。
その後、ナツヒロコンビ、Mさんと別れて、ビキと空港へと向かい、山口行きの飛行機はついに飛び立った。
ビキは飛行機が離陸するや否や寝てしまったが、私はまだしつこく泣いていた。
もう、ハンカチには、何も色がつかなかった。

この日を境に、私のブラックボトムファン生活7年目にして初の、空前のMONKYブームが始まったのである。

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