5／27　ありがとう久留米

米子おばちゃんのお告げをくり返し聴いているうちに、私のなけなしの反抗心も消え去っていった。
どうやら米子おばちゃんは自分の息子たちの仕業によってたくさんの女たちが人生を狂わせている（少なくとも米子おばちゃんはそう思っている）ことについて非常に責任を感じ、心を痛めているらしい。
そして、米子おばちゃん本人は、結婚して、子供をもって幸せだったのだろう。
これは書こうかどうか迷ったが、恵美子ママの家でも、藤井家でも「息子たちが帰ってきたときに撮った写真」を見せてもらった。
武内家のおばあちゃんを含む親子3代写真も、藤井家のフミヤと尚ちゃんが米子おばちゃんを囲んで笑っている写真も、眼福と言っていいぐらい本当によかった。
フミヤも尚ちゃんも米子おばちゃんに甘えるような顔をしていて、その間で笑っている米子おばちゃんは初めて見るほど幸せそうな顔をしていた。
だからチェッカーズファンの私たちにも幸せになってほしいのだろう。
そうでなければあんなに何度もくり返しくり返し言わないであろう。
それがわかるから、私もユキちゃんも何も言えなくなってしまった。
もし私がこの先結婚するようなことがあったとしたら米子おばちゃんに報告する。
それが私が約束できる唯一のことであった。
今日は米子おばちゃんに逢えてホントによかった。
本当のことを言うとやや嫌っていたフミヤのことも、嫌ってこそいないがまったく疎遠になっていた尚ちゃんのことも、米子おばちゃんを通してまた新しい気持ちで好きになった。
私たちのことを思って、帰るが帰るまでずっと「ちょっと理想ば落として、色気ば振りまいたら、縁なんて飛ぶように来るったい！」と何度も何度も言っていた米子おばちゃんの幸せがこれからもずっと続きますように。
米子おばちゃんと次に逢えるのはいつだろう。
こんなことは考えたくないが、もしかして、もしかすると、もう今日が最後かもしれない。
そんなことを考えると涙が出そうで、私は米子おばちゃんの言葉に「はい。はい」という短い返事しか返すことができなかった。
ものすごくギリギリの時間まで藤井家でお世話になりバスで西鉄久留米へ。
ユキちゃんは高速バスで空港へ、私は西鉄電車で天神まで帰るため、挨拶もそこそこにあわただしく判れた。
天神から高速バスに乗りかえて、家に帰りながらふと思った。
パソコンの学校に通っていたら、今日はもう山口に帰っていたから、藤井家にも来れてなかったんだよな―。
やっぱ、神様いいように考えてくれてるわ。
自分にいいふうにとりすぎかしら？