西鉄久留米から小頭公園に向けて歩く中、なにかしら想夫恋情報はないかとコンビニに立ち寄り、久留米のタウン誌やガイドブックを見てみたが情報はない。
結局、小頭公園の前の交番で聞くことにした。
私たちの土地鑑によるヒントを頼りに、おまわりさん3人がかりでああでもないこうでもないと考えてくれて、若いおまわりさんが気を利かせたつもりで「ここだったら××店の方が近いですよ」と教えてくれたりもしたのだが、申し訳ない。そこは私も知っているのだ。
議論の末なんとか場所もわかって、小頭公園で休憩タイム。
木陰のベンチで涼みながらこれから行く藤井家のことを考えていた。
藤井家に行くのは、何年振りかわからないぐらい久しぶりである。
解散以来行ってないかもしれん。
いや1回行ったか?
私は解散以来藤井兄弟とはあんまり縁のない生活を送っていた。
フミヤとは2・3回、尚ちゃんとは5回ぐらい逢っただろうか?
ユキちゃんからフミヤのことを、めぐから尚ちゃんのことを、それぞれ話に聞いて知るのみで、そんな私にはいささか藤井家は敷居が高い。
ユキちゃんと一緒でなければ行くことはなかっただろう。
今回の旅の中で私にとって一番の「久留米らしいこと」である。
昔は久留米に行くたびに藤井家に行っていた。
まだ米子おばちゃんがパーマ屋をしていて、パーマをかけてもらうというチャレンジャーな試みをしたこともある。
ファンの部屋があって、ときどき違うファングループとかち合って話に花が咲いたり、ファンノートを綴ってると今は亡きテツオおじちゃんが庭の手入れをしながら口笛を吹いているのが聞こえてきて、よく聞いてみるとそれがチェッカーズの新曲だったりして、うれしかったりジーンときたりした。
そんな想い出がいっぱいあるだけに、私にとって「行きたいけれど、もう行けないところ」となっていたのだ。
ああ、天気もよくて気持ちいい、絶好の藤井家日和。
そんなことを考えていると、隣りのベンチからユキちゃんの声がした。
「そろそろ行こっか」

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