婦人部

イチコが仕事を辞めて家でくすぶり始めて3ヶ月以上たった。
毎日家にいて、3日に1度ぐらい自分が働いていたスーパーに出かけて行くか、私がバイトをしていたセブンイレブンにタバコを買いに行ったりするだけの生活である。
それまでは毎日元気に正社員として働いていたイチコである。
さぞかし鬱々とした気持ちでいることであろうと思い、ピアスの穴をあけてやったり、携帯を持たせたりと思いつくことはしてあげるように努めていた。
しかし日々鬱積していくものはあるようで、私の小言に過剰に反応したり、美幸ちゃんに叱られ「マコに収入がなくなったからそんなに叱るのか」と被害妄想＋言ってはいけないことまで口にするようになり、私はとても心配していた。
そんなイチコが今日、地区の会合に出かけて行った。
イチコは4月から地区の婦人部の役員を務めているのだ。
なり手がいないのと、ヒマになったということで引きうけざるを得なかったらしい。
今日は来週の日曜日に行われる地区の運動会の賞品の準備があるようだ。
10時から出かけていってお昼過ぎに帰ってきたイチコの顔ははつらつとしていた。
行ってすぐに気の合う友達が出来たらしく、その人のことについていつまでも話し、役員を引きうけてよかったーとうれしそうに言うイチコを見て心からホッとした。
そして最近めっきり食が細くなっていたのに、会合でもらってきたお弁当をがつがつと平らげ、大イビキをかいて昼寝をはじめたイチコを、久々に頼もしい思いで見つめた私であった。