イチコ62歳がんばる。

バンバンのライヴの日の昼間のことだ。
めぐのJフォンショップに行き、イチコと美幸ちゃんの携帯を契約した。
イチコが退職したら携帯を持たせようと思っていたのである。
まだまだイチコには社会と関わり続けてほしい。
イチコの友達もうちの電話よりはイチコしか出ない携帯のほうが気軽にかけられるのではないかと思ったからである。
美幸ちゃんにもこの際ついでだから持たせよう。
今までも何度か「携帯持ったら？」と言ってみたことがあったが「別に不便を感じないから」という答えがいつも返ってきた。
いやいや、アンタがよくてもこっちが不便なのである。
恵美子ママ情報によると、トオルも最近携帯を持ち始めたらしい。
いい機会である。
ということでイチコは年寄り用の簡単なヤツ。
美幸ちゃんも別にカメラ機能とかは必要ないのでまあ、そこそこのヤツ。
イチコはTEL機能だけでいいと思っていたが、訓練して私からのメールを読むことぐらいはできるようになるかもしれない。
めぐのすすめもあり、一応Eメールもできるようにしてもらった。
私がメールを送って、「ほら、こうやってここを押して見るんだよ」と見方を教え、見方をマスターすると今度は自分が送ってみたくなったようである。
私はきっとすぐに「あー、もうわからんけーええ！」と言うだろうなと思いつつも打ち方を教えた。
それこそアビバのCMさながらに「ちが―う！もう！何回も言ったやろ！」とかなりのスパルタ教育を施したが、イチコは何度でも食いついてくる。
そしてついに恐るべき遅さながらも、携帯メールが打てるようになったのだ。
イチコはケンカしても自分からは絶対に謝らないのだが、メールだと口で言えないことも言えるようで、私が叱るとメールで謝ってくる。
やっぱりかわいいババアである。