男ならりかっち

2002年4月7日
今日はビキと博多でモ―娘。
博多行きの高速バス乗り場で待ち合わせ、一番に並んでバスを待つ私とビキの前にぐいっと入って、時刻表を見ようとする人がいた。
その人を見て、ビキが小さく「あ」と声を上げた。
「あ!」
その人は私とビキの小・中学校の同級生のユウコで私たちの知らない人と一緒であった。
「どこ行くん?」
「そりゃ博多だよ」
「博多に何しにいくん?」
「えー、もしかしてコンサート?」
「コンサート」
「え?誰?」
探り合いつつも、お互い「まさか違うだろう」と思っていたようだ。
32歳の女ふたり(ユウコの連れが何歳かは知らぬがだいたいそんなモンと思われる)が連れ立ってモーニング娘。のコンサートに行くということはまさかそうはあるまい。
しかし、彼女らの目指す場所もマリンメッセ福岡であった。
どうやらユウコがファンらしい。
バスの中で他の乗客の会話を盗み聞いてみると、モー娘。人口けっこう多し。
つくづく娯楽のない町ね。
バスの中ではほとんど、今週から新シリーズが始まった「渡る世間は鬼ばかり」の話ばかりしていた私とビキであった。
天神でバスを降り、ご飯を食べていざモー娘。
こんな大きい会場で観るコンサートは久々である。
会場付近には海賊盤グッズ屋やそれを買い求める人たちがひしめき合っており、どこから入場したらいいのか、この長蛇の列は何を求めてのことなのかなど、一切わからぬ状態であった。
ダフ屋の姿も見つけることができない。
まさかいないということはないと思うので、どうやら広すぎて見つけられないようだ。
ビキは先ほどからいわゆる親衛隊のような人たちに夢中になっている。
私もチェッカーズが現役だった頃、よく会社のパートのおばさん連中に「SAKUちゃんはチェッカーズの親衛隊に入っちょるんかね?」などと聞かれ、「親衛隊って、アンタ・・・」とかなり脱力していたので、親衛隊という言葉を使うのを躊躇したが、この人たちは親衛隊という表現であっているような気がする。
自ら○○親衛隊とでっかくサテン地のハッピに刺繍している人もいたので確信犯であろう。
親衛隊か・・・。
刺繍のいっぱい入った揃いの衣装に、自分のお目当てのメンバーのプロマイドを安全ピンでびらびらとたくさんつけている人たちが特にビキのハートをつかんだようだが、私も10年前、全く同じことをしていた。
赤と黒のどぎついドレスにヒラヒラとトオルのプロマイドをはためかせたものである。
あの時ビキが私を見たら、今日のように後をつけられたりしたかしら。
ビキはまるでモー娘。親衛隊の追っかけと化していた。
しかしいろんな人がいるもんだ。
「男ならりかっち」という訳わからんTシャツを着ているおっさんなどは、メンバーの親といってもいいぐらいのご年配である。
こういう濃い信仰の世界の中にいると、えてして時が止まりやすいものなのだ。
このおっさんは、いったい何歳で止まっているのだろうか?

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