さて、六本木へ急ごうとエレベーターに向かっているとコーくんがいたので帰りのご挨拶をする。
「コーくん帰りますね。またー」
「あ、もう帰るんや。今日帰るの?」
「いやいや、次の男のところに行くんですよ。男から男へと渡り歩く女なんです」
「あ、わかった。武内さんやろ!」
ほう。コーくんはトオルのことを武内さんって呼ぶのか。
一瞬トオルのこととはピンと来なくてちょっと返事に詰まった。
「ん?あっ、そうです。そうです」
「今日スティーヴさんと逢ったとき、顔出すっていうてはったわ」
「えー!そうなんですかー?」
スティーヴのことはちゃんとスティーヴさんと言ってくれてよかった。
エトウさんとでも言われていたら誰のことか分からなかっただろう。
次にYASSYと逢い「帰りますー。バイバイ」と言うと「もう帰るん?あ、わかった。トオルさんとこ行くんやろ」。
君ら全てお見通しか。
ユキちゃんとなっちゃんにメールでスティーヴが来ることを報告する。
渋谷駅へと急ぎながら、「あれ?なんで今日スティーヴさんと逢ったんやろ?」ということが無性に気になり、引き返そうかと思ったほどであった。
ソノラの近くの交差点でユキちゃんと落ち合い、いざトオル。
なっちゃんからも気力を振り絞って行くことにしたというメールがきた。
私とユキちゃんはまず去年の暮れにトオルがやったほうの入り口に入ろうとした。
が、入り口カウンターにいたお姉さんは、首を傾げるばかりでなかなか料金を提示してくれない。
えーっと??といぶかしむ私にふとひらめくことがあった。
そうだ!ここは前にANTONさんが言ってた「外国人ストリップの店」だった。
このまえ来たときにそれを納得したはずなのに、なんでまた間違うかな。
私は女もかなりイケるクチなので、見たくないでもなかったが、ここで意地になって「いや、私たち外人ストリップ見に来たんです」と言ってトオルを蹴るのはどう考えても得策ではない。
私はすいませんと謝り、本物のソノラのほうに行ったのであった。

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