オトナ帝国の逆襲

クレヨンしんちゃんの映画はよい。
そんな噂を聞いた私はさっそく美幸ちゃんにビデオを借りてくるように命じた。
父の遺言(というか、最後にあった時に話していたこと)で心に残っていることが2つある。
ひとつは「本当に好きな人がいれば別だが、そうでなければ無理して結婚する必要はない」ということ。
それは確実に守っている私だが、もうひとつの「美幸ちゃんに命令をするな」ということはなかなか守れず、よくこのようにいろんなことを命じているのである。
まあそんなことはどうでもよいのだが、美幸ちゃんが借りてきたクレヨンしんちゃんの映画の最新作「オトナ帝国の逆襲」はとてつもなくよかったので皆さんにお薦めしようと思った次第である。
これはアニメ映画だが、絶対に子供向けではないと思う。
内容は、大人がみんな子供がえりをしてしまうのである。
自分の子供の面倒も見ず、菓子を食ったりおもちゃで遊んだり勝手気ままに生きている。
父ちゃんとみさえもそんなふうになってしまい、あらあらどうしましょうという話である。
子供たちの尽力により父ちゃんとみさえは大人の心を取り戻すのだが、父ちゃんが大人の心を取り戻すときの回想シーンがすばらしい。
私も美幸ちゃんも干からびるほど泣いた。
幸せなのね・・・。
父ちゃんにも、子供時代があり、学生時代を経て、社会に出て、みさえと知り合い結婚した。
そしてしんちゃんとひまわりが生まれて、大変なこともあるけど、子供もかわいいし、毎日すごく楽しくって幸せ。
そんなことが無声の画面からにじみ出ているのである。
私も実は毎日すごく楽しくって幸せなのだ。
だから今のままで充分、この幸せがずっと続きますようにと思って生きてきた。
でもこの映画を見て、好きな人と結婚して、子供ができたら、もっともっと楽しくって幸せになれるのかなあと思うようになった。
私はあんまり人をうらやまない方だけど、みさえのことはちょっとうらやましい。
もうすぐ次回作が公開されるらしい。
絶対に劇場に見に行こうねと、泣いてしょぼしょぼになった目をティッシュで拭きながら、美幸ちゃんと固く誓い合った。
みんなもだまされたと思ってぜひ見てみてください。