今日は家族サービスの日。
イチコと美幸ちゃんと3人で温泉宿に泊まりに行った。
サービスとはいえ、スポンサーは美幸ちゃんだ。
私は配車係および家族のアイドルだ。
なんかちょっとかわいいことを言って甘えていることが家庭内での私の役割なのだ。
だから正確に言うと家族サービスというよりは私と美幸ちゃんによる「イチコサービス」というところだろうか。
泊まる宿はいつも決まっている。
イチコは旅一座がとても好きなので、旅一座のショーがある宿である。
ホテル内の地下の宴会場のようなところでショーは行われるのだが、もちろん私と美幸ちゃんは見ない。
が、イチコの送り迎えはしないといけないのだ。
なぜならイチコは方向音痴で部屋から宴会場まで一人ではいけないのだ。
この件に関しては私たち姉妹は多いに反省している。
イチコが「できない」といえばなんでも手助けした為、イチコは一人では何もできない老婆になってしまったのだ。
一人では電車やバスにも乗れない。
もっと言えばエレベーターや下りのエスカレーターにも乗れない。
公共機関から来た手紙なども自分では読まず読ませて通訳させる。
まだ60代になったばかりなのに、ちょっとないぐらい年寄りなのだ。
自分が甘やかしてきた為にイチコをこんなに老いさせてしまった。
はつらつとしたお年寄りをみるたびに「ああ、イチコもこのぐらいしゃきしゃきしてたら安心できるのにな」と思う。
以前会社のゼンポさんのおかあさん(多分イチコより10歳ぐらい上と思う)が、一人でバスに乗って買い物に来ていたとき、私はすごくビックリし感心したのだが、周りの人はその私の反応の方に驚いてた。
そしてイチコを甘やかし過ぎだと注意を受けた。
私も素直に反省し、自分のことは自分でするよう促すように心がけた。
今日、私はイチコに旅一座を見に行くとき送っていかないと宣言した。
イチコはたいへんうろたえ、「じゃあ見に行かない」と言い出した。
行けばよいではないか!
私の母とは思えぬ行動力のなさである。(*ここ一番というときの行動力は私も敵わないほどあるのだが)
私はイチコにいつまでも元気ではつらつとしていてほしい。
旅一座が好きなら、旅一座の後を追って自分も旅して歩くぐらいしてほしい。
たかがホテル内の宴会場ぐらい一人で行けなくてどうする!
しかし情けないことにショーが始まる時間が近づくと私たち姉妹のほうがやきもきし、結局美幸ちゃんがイチコを送っていった。
ショーが終わったらイチコが私のH"にTELしてくるだろうから電源切っとこうかなどと言っていたのだが、イチコは一人で部屋まで帰ってきた。
「電話しようかと思ったけどね、まあ、帰れるとこまで帰ってみるかと思ってね」と得意げに話すイチコに「それが普通だよ」と言いつつもちょっと感心した。
これを足がかりにして、イチコの自立を奨めていかねば。

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