「これなに?」

2001年11月4日
そんなカンジで楽しくライヴも終了し、帰る人は帰り、なんとなく残る人は残っていた。
私はもちろん残留組。
IGGYに沖縄で買った渡しものをしなければいけなかったからである。
っていうか、別にそれがなくても出待ちするんだけど。
しかし、待てど暮らせどIGGYは来ない。
他のメンバーはじゃかじゃか出てきてファンサービスに努めているのだが、IGGYはチラリとも姿を現わさず、でもまあ、IGGYはたいていそんなカンジなので私も最初のうちは鷹揚に構えていた。
ANTONさんと話をしたり、ファン友達と別れを惜しんだり、ファンサービスに努めるメンバーの様子を見て楽しんだりしていた。
コーくんは音大生のかわいい女の子たちに囲まれて、大スターのような扱いを受けており微笑ましかった。
「私たちの学校の先輩にこんな人達がいるなんて知りませんでした―!!!」と感激している女の子を見て「ああ、母校の生徒でも知らないんだな」とちょっとおかしくなった。
私がブラックボトムを好きになった頃、よく地元の友達に「ブラックボトムー?聞いたことない」と言われては「関西ではすごく有名なんだよ」と言っていたし、事実そう思っていたんだけど、知り合いの関西人に聞いても知ってる人のほうが珍しかったりして、「そんなもんか」と思ったことを思い出した。
そんな微笑ましく思っている私をよそに、IGGYは全く姿を現わさない。
先ほどまで鷹揚に構えていた私はどこへやら、一変して慌て始めた。
いつもより早い時間の夜行バスに乗るのでもうあまり時間に余裕がない。
イライライライラして、もう時間切れだとあきらめて帰りかけたところにIGGY登場。
さっと寄って行って渡しものをするとIGGYはニコッと笑った。
ああ、やっぱりかわいいなぁーと見惚れていると、ふいに「これなに?」と聞かれたので驚いた。
だって、口で説明できないものなのだ。
とても歩きながら短時間で説明できない。
強いて言えば、今私は色違いを持ってるんだけど、それを見せたらIGGYは使ってくれないだろう。
なんて言ったらいいかわからず曖昧に笑っていると、IGGYが再び「これなに?」と言った。
別に聞こえなかったから黙ってたわけじゃないんだけどな・・・。
もう逃げ切れないと思い「これの色違いです」と言うと、IGGYは「ああ・・・」と軽く顔を曇らせた。
だから言いたくなかったのよん。
でもなんとなくいいカンジ。
ギリギリまで待っててよかったなーと、駅まで走りながらも思っていた。

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