ひとりごと

2001年9月16日
私はものすごくよくしゃべる。
しゃべらないと死ぬぐらいの勢いだ。
誰かと一緒にいるときはもちろん何かしらしゃべっているし、一人のときにもしゃべっている。
それはひとりごとという類の物とは少し違って、やりなおしとか、練習とか、そういうカンジのことだ。
例えば仕事帰りの車の中では、その日なにか話したことで、もっとああ言えばよかったとか思うことがあったら一人やりなおしている。
もしかすると私は、一人の車内が一番多弁かもしれないと思うほど、熱心に予習復習を行っている。
よく知り合いに「車の中で歌を歌ってたでしょう」と言われるが、その大半は「語り中」なのだ。

しかし、そんな私以上に「しゃべらないと死ぬ」カンジの人が最近セブンイレブンに来る。
2週間前ぐらいから、9時少し前に毎日やってくるその人は40代の男の人である。
すみやの山下さんに似た風貌の彼は「知らんぞ!そんなこと!わしは聞いてない!」と言いながら店に入ってきた。
お電話中かしらと思いきや、そうではなくひとりごとであった。
ひとりごとはたいていいつも怒りモードなのだ。
「そりゃ、よう見んからじゃ。見さえすりゃナンボでもあるのにから、見てないほうが悪いいや」
「くそっ、知らんっていいよるじゃろうが。つまらん奴じゃのう」
そんな罵声の間を縫って、私やももちゃんにごく紳士的な態度で「レジお願いします」とか、「ドレッシングはどこですか?」とか話しかけてくるので私たちはとても混乱する。
ひとりごとのときとは声さえ違う気がする。
ひとりごとというよりは多重人格なのだろうか?
それとも憑依?
とりあえず、今私とももちゃんが最も恐れているお客さんなのである。

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