開場時間も迫ってきたのでベイサイドジェニー近辺へ。
通りかかったSASAさんに声をかけると開場時間が押すとのこと。
マジかーい!?
定刻でチャチャッとやってもらってもギリなのに1分1秒たりとも押してもらっては困るのだ。
しかもブラックボトムはトリだし、おまけにさっきチラッと見かけたところでは今日はMitchも来ているのだ。
トランペットも持っていた。
ということはMitchもステージに上がるはずである。
さっきまでそのことでとても喜んでいたのに、もしかすると私は一番いいところを見ずに帰るハメになるかもしれない。
私が、120回目の「早く開けてくれー!!!」を言った頃、約1時間押しでようやく開場した。
私のタイムリミットはベイサイドジェニーを10時出発である。
開場してすぐSASAさんの元へ。
新しいタイムテーブルによるとブラックボトムは9:15の登場らしい。
それならなんとか最後まで見れるかもしれない。
うーん、でもけっこうギリギリだなあ。
私はイベントの間中やきもきしていて、なんとなく心からは楽しめなかった。
結局、ブラックボトムが出てきたのは、9:30を少しまわった頃であった。
せめてMitchとの共演を少しだけでも見たいとジリジリしていたが、それは叶わず、私は「らくだ」の途中でベイサイドジェニーを後にした。
泣きながら駅へと走る。
最初の交差点を渡りきる頃までずっと「GO!GO!どやらくだ?」という声が聞こえてきて、よけいに心が痛かった。
梅田の夜行バス乗り場までたどり着いたとき、私の乗るバスの改札はすでに始まっていた。
私にとってはちょっと考えられないぐらいギリギリである。
慌ててロッカーから荷物を出し、改札をすませバスに乗りこむ。
発車3分前だった。
なんとか間に合ったと思ったら、ホッとした反動かまた涙が出てきた。
あの後、Mitch出てきたんだろうな。
久々にMitchのいるブラックボトム見たかったな。
鞄の底から癒しの鈴を取り出し耳元で振る。
いつも通り、ポロンポロンとやさしい音色で私を慰めてくれた。
そのときである。
私の斜め前に座っていたおばさんが、きょろきょろしながらバス中の人に呼びかけたのだ。
「何か遠くで音が聞こえるんだけど、誰か鞄の中で携帯鳴ってませんか?」
すまん。音の犯人は私だ。
私は慌てて癒しの鈴を鞄の奥深くにしまいこんだ。頼むからもう少し浸らせてくれよ―と思ったが、おかげで涙はすっかり乾いた私だった。

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