うれしい気持ちを抱えたまま戻ると、めぐはまだカウンターのあたりでくすぶっていた。
理恵ちゃんは相変わらず両手に花で楽しそうだ。
「どうしよっか。どうしよっか」と私以上にあがりまくりビールまでこぼした挙句、ようやくめぐが椅子を抱えてIGGYの元へと旅立った。
けっこうウェルカム状態でIGGYに迎えられているようだ。いいなー。
なんの話をしているのか読唇術を使うがさっぱり解らない。
そんなら行って仲間に加わればいいのだが、それができればこちとらこの6年間苦労していないのだ。
私は相変わらず2人の唇の動きを注視していた。
前々からめぐに言っては嫌がられていたことなのであるが、IGGYとめぐは口がよく似ている。
上唇が富士山みたいな形になって尖っているところが、似てるというより「同じ」なのだ。
笑うと特にそっくりで、私など何度めぐにチュッとしそうになったことか。
こうして2人並べてみるとやっぱり似てる。
私が一人うれしがっているとめぐが遠くから「ねぇ、私が沖縄に行ったときってまだMitchおった?」と声をかけてきた。
覚えとけよそんくらい。ステージ見たろうが。
「おったおった」山口弁丸出しで叫ぶ。
なんだよ、沖縄の話?楽しそうやん、入れてくれー!
それから3分くらい様子を窺っていたが、矢も盾もたまらず私も椅子を抱えて合流した。
IGGYは私とめぐの間柄を聞いてきた。
私はさらりと「チェッカーズ友達」と答えたが、正確に言うと違うのだ。
だが「ドキドキメッセージっていうのがあって・・・」と詳しく説明されてもIGGYも困惑すると思うので、そういうことにしておいた。
前々からめぐのことは手紙に書いたり、めぐと撮ったプリクラを貼ったりしていたのでIGGYもピンときたようである。
私はIGGYに質問したいことがいっぱいあった。
IGGYに対する疑問は6年の間に、増えたり解明したリを繰り返したが、ファンになった頃からずっと知りたいと熱望していてわからなかったのが足のサイズときょうだいについてである。
足のサイズぐらい、聞けば5秒で解決だろうに。
事実今日「IGGY足のサイズ何センチなんですか?」のひとことで解明した。
よくぞこんなネタを6年間引っ張ってきたものだ。
それからきょうだいのことも、結婚しているお姉さんがいるらしいということは知っていたのだが、お姉さんの年のことが気になっていたのだ。
どうか私より年上であってほしいのだが・・・。
聞かぬが花かと思ったが、念のため聞いてみる。
そして玉砕。
IGGYのお姉さんは私よりも一つ年下であった。
はー、IGGYのお姉さんよりも年上かー。
改めて4歳の年の差をかみしめていると、IGGYがビックリするようなことを言った。
なんとお姉さんは徳山に住んでいるというのだ。
「えー!なんでそんなこと今まで黙ってたんですかー!?」
「いや、けっこう距離あるし、言うほどのことじゃないと思って」
言えよ―!!
徳山と宇部は充分近いぞ。
この前ヒロミゴーのコンサートで行ってきたばっかりなのに。
っていうか、たとえ北海道に住んでいたとしても一応教えといてほしいんですけど。
「IGGYみずくさ―い!」と詰め寄った私とめぐであった。

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