8／15　その4　山口県民がんばる

ライヴは意外なほど盛り上がった。
「今日ははじけようね」と言っていたヒロムネくんは、予告通り私の横で踊りまくっている。
途中でTシャツを脱ぎ半裸くんになっていた。
ライヴ中に続々とやってきたヒロムネくんの友達もみんな独特のノリで楽しんでくれている。
共通点は独特だ。
でも傍から見たら私も立派にヒロムネくんの一味に見えていたことだろう。
それにしても山口県民なかなかやるね。
たぶんほとんどの人が初ブラックボトムであろうに、ものすごくすんなりとブラックボトムを受け入れていた。
いつのまにかみんな前に集まって踊っている。
ブラックボトムは私の町にもHappyを運んできてくれた。
MCでコーくんが今日の昼間なにをしていたかを話し始めた。
そうそう！それが聞きたかったのー！と身を乗り出した私は思わずのけぞった。
なんとメンバーはうちの会社のバリバリライバルの某ショッピングセンターに行っていたのだ。
やられたー。
ただでさえお客さんを取られてまいっているのにブラックボトムまで取られようとは。
そんなとこに行くくらいならうちの店に来てくれよと言いたいところだが、そこは映画館やボウリング場が併設されていて、なかなかに暇を潰しやすいカンジになっているのだ。
案の定、彼らはボーリングをしたらしい。ちぇ。
ライヴもいよいよ終わりに近づいた頃、ついに理恵ちゃんがタイムアップとなった。
昨日、今日と本当に楽しかっただけに理恵ちゃんが帰ってしまうのがとてもさびしい。
見送る私がこんなにさびしいのだから、一人帰っていく理恵ちゃんのさびしさはどれほどだろうか。
メンバーも演奏しながらも、帰っていく理恵ちゃんのことをなんとなく見送っているように見えた。
本編が終わるとすぐにアンコールが沸き起こる。
2回目のアンコールが始まってすぐ私の肩を叩く人がいた。
振り返るとさっき悲しい別れをすませたはずのりえちゃんが立っていた。
タクシーが拾えず、電車の時間に間に合いそうになかったので戻ってきたらしい。
「キャー、理恵ちゃんお帰り―」
理恵ちゃんには悪いがうれしかった。
だって、夜はこれからなんですもの。
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