ハーリー族のユウカ

2001年6月18日
昨日のフジの夜ワイド番組、なんていう番組か知らないけど、森本毅郎と小島なっちゃんが出ているあの番組でハーリー族の特集をやっていた。
台湾では今空前の「日本ブーム」らしい。
日本のファッションや、日本のTVドラマ、アイドルなど全般に渡って大人気らしい。
そして台湾の「日本大好きっ子」たちを総称してハーリー族と呼んでいるそうだ。
日本のギャル雑誌「cawaii」の台湾版も創刊されて、読者モデル募集に応募が殺到したそうだ。
そしてモデルに選ばれた女の子の部屋に行ってみると彼女はうれしげに日本で買った洋服や小物を部屋いっぱいに広げて見せてくれた。
「これは竹下通りで買ったの。こっちは109」
豹柄のキャミソールや厚底サンダル、数々のアイテムにはまだタグがついたままだ。
「もったいなくて使えない」らしい。
彼女のファッションのお手本はあゆだそうだ。
ハーリー族にもいろいろあって、彼女のように日本のファッションが大好きという人もいれば、日本語や、日本の風俗全般に興味があるという人もいる。
そしてやっぱりいるのが日本のアイドルの熱狂的追っかけファンなのである。
彼女、ユウカはKinkiの剛の大ファンで、前回のKinkiの台湾公演では仕事を休みすぎて会社をクビになりかかったという。
その経験を踏まえて今回の公演のために有給を駆使したりしてちゃんと段取りをつけたそうだ。
いよいよKinkiが台湾にやってきたその日、ユウカはもちろん空港にいた。
ユウカだけではない。驚くほどたくさんのファンが空港を取り巻いている。
「台湾のアイドルには全然感じないわ。剛じゃなきゃダメなの」
ユウカの今回の目標は、剛と目を見て握手をしてもらうことなのだ。
がんばれユウカ!
私の声援も虚しく、剛はガラスの向こう側にいて、たくさんのガードマンに囲まれている。
どう考えても触れることさえ無理そうだ。
「ツゥヨシィー」
ユウカの叫びは剛に届いている気配はない。
駆け出したユウカはガードマンに制されて、その間に剛は行ってしまった。
驚いたことに、ユウカはちゃんと追っタクを手配し、ホテル待ちまでしていた。
台湾にも追っタクがあるとは、日本とまったく同じである。
どこに行っても追っかけまわされるKinkiの2人がちょっと気の毒になった。
自分も昔、チェッカーズに対してまったく同じことをしていたのに勝手なものだ。
しかしホテル待ちも空振りに終わり、ユウカの顔にも焦りの色が見えていた。
翌日からはコンサート。4公演行われた全てにユウカは意気揚揚と入っていった。
しかし夜の出待ちも空振り。
なにしろ人が多くて、近づくことさえできないのだ。
剛の乗った車を追って必死で走るユウカ。
しかし車は見えなくなってしまった。
明日には剛は日本に帰ってしまう。
泣き出してしまったユウカを追っかけ仲間が慰める。
「ユウカ泣かないで。明日があるじゃない。明日がんばればいいのよ」
私も何度同じ言葉をかけられただろうか。

次の日の空港のお見送りでもユウカは剛に近づくことができない。
「ツゥヨシィー、ツゥヨシィー!!!」そんなユウカの叫びも剛には届かない。
ユウカはガードマンの制止を振りきって駆け出した。
柵に登り、ガラスとガラスの隙間から手を伸ばし、必死に剛を呼ぶ。
でも怪物くんでもない限り手は届かないほど、剛は遠くを歩いている。
そして、ついに剛は行ってしまった。
力尽きてグッタリするユウカ。
そこへ追っかけ仲間がようやく現れた。
彼女達はガードマンに止められ、足止めを食っていたのだ。
彼女達にユウカは言った。
「触ったわ!ガードマンが邪魔だったけど、一生懸命手を伸ばして腕に触ったの。剛と目が合って、剛は笑ったわ」

カメラに写ってないところで、もしかするとそういうことがあったのかもしれない。
でも、あの様子ではとうていそんなことは無理だと思ったのだが・・・。
仮にユウカの言ったことが嘘だったとしても、私はユウカを笑えない。
ユウカの嘘は追っかけ仲間に対する自慢なんかのためではない。
自分を納得させるための嘘だ。
いつか、剛とユウカがみつめあって握手できる日が来ますように。

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