ブランコ邸を後にした私たちは、スーパーマーケットに向かった。
想像よりも外見がしょぼくって「なーんだ」とがっかりした私たちだったが、見てみるとあんがい面白い物が多くて、けっこう長い時間楽しんだ。
私も180円ぐらいでブラウスを購入。
それからオープンカフェでご飯を食べた。
私が食べたのは確かソトラチャラチャ(だったと思う)という名前の鶏肉の煮込み料理。
ソースごとご飯にかけて食べるととても美味しい。
なっちゃんが頼んだ野菜カレーは爽やかなミントグリーンで、でも食べるとカレーの味もした。
そして、その後はお土産やさんが建ち並ぶ通りをノンストップショッピング。
特になっちゃんの買い物に対する情熱はすごかった。
とても昨日具合が悪くてホテルに医者を呼んだ人とは思えない立ち直りようだ。
私が知っているだけでワンピースを4枚買ったと思う。
その中の1枚はとても高価な物だった。
と言っても日本円で3800円ぐらいだが。
そこはたぶん、わりと高級なブティックなのだと思う。
少ない坪数の店内にブラウスが何枚かと、ワンピースが何枚か、小物がちょこっと、そんなカンジの品揃えであった。
その中でもなんとなく「特別」っぽく陳列してあったワンピースをなっちゃんは非常に気に入り、店の女主人に値段を聞いた。
木の実ナナを彷彿とさせるその女主人は「そのワンピースはこの店で一番高い。それは麻だから。でもこれならばコットンだから同じようなデザインで安い(確か1000円くらいだった)。これもそう。こっちもかわいい」と次々とお買い得商品を教えてくれるのだが、なっちゃんは「いや、私はこれが欲しい」と言った。
でも3人合わせてもルピアでそんな大金は持ってなかったので、私の持っていたUSドル、35ドルで支払った。
ナナは、なっちゃんに商品を手渡し「サンキューベリーマッチ!!」となっちゃんとガッチリ握手をした。
そして私とちづちゃんにも握手を求めてきた。
私たちには何気ない買い物でも、きっとこの店にとっては、なっちゃん一人で本日の売り上げ予算達成できるくらいの超VIPだったのだろう。
その後も小買い物を時間ギリギリまで繰り返し、またウトウさんの運転でホテルに送り届けてもらった。
ウトウさんとももうすぐお別れだと思うとさびしい。
ウトウさんは私たちに名刺をくれて、私たちはチップをはずんだ。
最後まで控えめないい人であった。

さて感慨に浸ってばかりもいられない。
部屋に帰り大急ぎで買ったものを詰めこみ、最終の荷物整理をし、チェックアウトに向かう。
フロントは長蛇の列。
スティーヴさんや山崎さんもチェックアウトの列に並んでいた。
ロビーではピアノ(確か)の生演奏が聞こえていた。
「昴」とか、日本の曲を演奏していたが、ふと流れてきたのが「上を向いて歩こう」。
実はこの曲は昨日のサンセットライヴの最後の曲だったのだ。
トオルの大好きな曲だといっていたっけ。
今このタイミングでこの曲が流れてきたのが、偶然なのか演出なのかよくわからないけど、とにかく私は、涙がこぼれないように上を向いて順番を待っていた。

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