「みんなともっと話がしたいから」というトオルの言葉と共にライヴはわりとあっさりと終了。
その後また歓談タイムとなった。
トオルの「子供を産め」発言がかなり心に残っていた私は、このツアーで初めて逢った人達を前に、自分の恋愛観についてかなりあけっぴろげに語った。
北海道コンビのウチヤマさんは既婚者だそうだ。
「子供ができたら自分のやりたいことができなくなっちゃうし」と言っていたので、ウチヤマさんもトオルの言葉にはわりと思うところがあったのではないだろうか。
そんな話をしている間にもケンタがステージに上がって楽器を触ったりしている。
その姿はホントにかわいくて、自分の子供だったらもっとかわいいんだろうなとつい想像してしまう。
トオルは各テーブルを廻っていたのだが、いつしか写真大会となり、座が乱れまくっていた。
でも私たちのテーブルは超まったりモードで、完全に尻に根が生えていた。
「ああ、私もトオルと写真でも撮りたいなぁ」という気も無きにしもあらずなのだが、それよりも、この夜のこの雰囲気に身をまかせたいという気持ちがの方が強かった。
それにしても、みんな写真が好きだなぁ。
私も常にカバンの中にカメラを入れているほどの写真好きだが、とうていかなわない。
トオルと江美子と3ショットで写るというチャレンジャーな行為も流行していた。すごい絵だ。
でも、江美子もなんだかうれしそうだったのでよかったなと思う。
自分のダンナの大ファン達というのは、江美子にとっては少なからず怖い存在でもあったと思うが、写真を一緒にとってくれとねだられるという、とてもわかりやすい「認められ方」をして、江美子もちょっと安心したのではないだろうか。
ケンタとコーヘイも大人気で、みんなとかわるがわる写真を撮ったりおしゃべりしたりしていた。
コーヘイはまだ小さいのでそういう意識はまだないと思うが、ケンタに関して言えば「ファンをもてなそう」という気持ちが働いているようだ。
父親に似て、けっこうお姉さん好きらしく、まんざらでもないカンジ。
でもみんながあんまりかわいがったり、写真を撮ったり、中にはケンタにサインを求めている人までいたようなので、ケンタが「自分は特別な人間だ」と思ってはなもちならない男になりはしないかと少し心配になった。
そのうちにケンタが私たちのテーブルにやってきたので、私は早速目を細めた。
しかし子供慣れしていない私はどうしていいかわからない。
千津ちゃんの「ケンタくん、お姉ちゃんな、ケンタくんと一緒に写真が撮りたいねんけどな、カメラの電池がなくなっちゃったから撮られへんねん」という言葉を「うん、うん」と聞いていたケンタだったが、おもむろに「わかった!」と叫び立ち上がった。
そしてトコトコと隣りのテーブルに行き元気よくこう言った。
「ねぇ、カメラ貸して!」
千津ちゃんは慌てて「ケンタくん、ありがとう。お姉ちゃん、その気持ちだけで充分や」と制していたが、ケンタのあまりのかわいらしさに、一堂キュッと胸をつかまれる思いだった。
写真大会で乱れた座は元には戻らず、トオルは私たちのテーブルに寄り付くことのないまま、〆に突入した。マジ?
まさか来ないまま終わるつもりか??
〆の言葉を言い終え、トオルが去ろうとする絶妙のタイミングで北海道コンビが「トオル氏―――!!ここのテーブルまだ来てないよー!!」と叫び、トオルが慌ててやってきた。
といっても、もうまったりできる雰囲気ではなかったので、私たち一人一人の肩に手を置きながらテーブルを一周し「ねぇ、みんな明日は最後だからプールでのんびり遊ぼうよ」などと誘うにとどまった。
それでも、というか、それだからこそ、というか、トオルが一人一人の目をちゃんと見ながら話をしていた姿がとても印象的だった。
それにしても、北海道コンビかなりいいカンジ。
自分達が存在を忘れられたと思うとついウジッとなりがちだが、元気よくトオルを呼びつけたサマは、サラッとしていてとてもカンジがよかった。
とても見習うべきところの多い2人であった。

お開きとなった後は当然、千津・奈津コンビの部屋になだれ込み、またまた武内享について大いに語らった。
おとといが「基本編」とするならば、今日は「応用編」。
最後の夜にふさわしいディープな夜は、最後の夜を惜しむ隙も与えないほどに濃ゆーく濃ゆーく更けていったのだった。

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