さて、いよいよ本格的にトオルに逢えるパパズカフェでのディナーである。
トオルは店で私たちが来るのを待っていた。
席はくじを引いて決める。
部屋毎に1つ引くので藤原さんに引いてもらった。
各テーブルにバリの言葉を書いた紙が置いてある。
藤原さんの引いた紙には「サマサマ」と書いてある。
どうやら書いてある言葉と同じテーブルに座れということらしい。
ちなみに「サマサマ」とは「どういたしまして」の意味である。
1テーブルにだいたい8人だったのだが、サマサマテーブルにも徐々に人が集まってきた。
その中の1人を見て私ははっとした。
私は成田の段階からその人のことが気になって仕方がなかった。
私の記憶が確かならば、その人は以前FCの会報の企画でトオルにインタビューをした人だったのだ。
その企画のインタビュアーを募集したとき、私は相当怒った。
会員が何人いるかは知らないが、私が当たる確率は著しく低い。
まず当たらないだろう。
私以外の人にそんなことさせるなよ!と腹を立てていたのだ。
案の定私ははずれたが、当選した人のトオルに対するスタンスが、ホントに私と同じで、私の気持ちをそのまま代弁してくれていたので驚いた。
それはそれはいいインタビューだったのだ。
「この人とトオルについて語らいたい」
それから私はずっと彼女のことを心にとめていたのだった。
だから成田で逢ったときはうれしかったし、反面、私のこの長年の想いに応えてくれる人でなかったらどうしようという不安な気持ちもあった。
その人が今、わたしの目の前にいる。
私は注意深く観察したが私を失望させる要素は見当たらない。
一緒に来ているらしき連れの人もカンジがよろしい。
私は慎重派で人見知りなので、初めての人に自分から話しかけることはホントに少ない。
性格的にわりと一人でも平気ということもあって、どちらかと言わなくても受け身な方であった。
しかし・・・ここはGO!だろう。
この人たちとは絶対に仲良くなれる。
「会報でトオルにインタビューした人ですよね?」

ご飯を食べながら、しばらくの歓談の後、トオルが各テーブルを順番に回っていた。
次は私たちのテーブルだな―と思っていたら、トオルが立ちあがり、私たちのとなりのテーブルの、今日が誕生日だという人をみんなに紹介し、みんなでバースデーソングを歌った。
今日が誕生日のその人は、行きの飛行機で横に座っていた、私が常々かわいいと思っていた人だった。
その人のうれしそうな顔を見ていたら、私の方が泣けてきた。
最高のお誕生日おめでとう!
そしていよいよトオルが私たちのテーブルにやってきた。
「夕方プールで泳いでたでしょ」
いきなりそう言われ少したじろいだがうれしかった。
なんかまったりと、私たちが昼間どうやって過ごしたとかいう話をしたり、トオルのバリでの過ごし方を聞いたりして楽しい時間は過ぎた。
それぞれトオルとの2ショット写真を撮らせてもらったりと、トオルに対する欲求を次々満たしていた。
私は実はトオルに対してものすごいお願いがあったのだ。
それは来れなかったユキちゃんのためにエアメールを書いてもらうことである。
みんながトオルを囲む一瞬の隙を突いてトオルを捕まえ、「どうしても来れなかった友達にエアメールを送りたいので何か書いてもらえませんか?」と頼んだ。
トオルは「いいよ」と言ってしゃがんで、ひざの上にハガキを置いて、私があらかじめハガキの上半分に書いていたユキちゃんの住所と名前を見ていたようだ。
そして一瞬考えたあと、「来れなくてザンネン。次は一緒に遊ぼう。TORU・T」というようなことをサラサラッと書いてくれた。
書いてもらう間、私はなんだか、流れを止めてしまったかな?と心配していたが、書き終わったトオルは、ものすごくやさしい顔で「はい」とハガキを手渡してくれたのでうれしかった。

その後、機内でやったバリ島クイズの答え合わせをした。
私は30点満点で26点というなんとも中途半端な点数であった。
それから〆に取りかかろうというところで、それまで私たちがトオルにかわるがわる食いついていくのをじっと見ていたパパズカフェの従業員達が、堪えきれずに、彼はフェイマスか?と聞いてきた。
私が、べリベリフェイマスジャパニーズミュージシャンだと言うと彼らもトオルにサインと写真をおねだりしていた。
そして「ソリマチィ?」などと聞くので、反町よりも断然グレイトだと言うと驚いて手の中のサインをじっと見ていた。
私は決して嘘は言っていないつもりなのだがどうだろうか?

そんなカンジでお開きとなり、階段のところでトオルが一人一人をお見送りしてくれた。
握手してもらいながら、そういえば・・・と思い、「YASSYがこの前偶然トオルさんと逢って、すごくうれしかったって言ってましたよ」と言った。
「へぇーホント。YASSYにによろしくいっといてよ」と言ったトオルだが、まさか私が帰国したその日にYASSYに逢うとは思っていないだろう。
なんかおかしかった。

そしてホテルに帰り、私と藤原さんはトオルにインタビューした千津ちゃんと、その連れのなっちゃんの部屋にお邪魔して、夜遅くまで武内享について大いに語らった。
思ったとおり、チェッカーズと武内享をちゃんと見続けてきた人達で、私は一瞬にして心を許した。
今日藤原さんが「サマサマ」を引いてくれてホントによかった。
まさにサマサマ様々である。

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