進物客いろいろ

そろそろ母の日が近づいてきて、母の日用の進物を承る機会が増えてきた。
ところが進物包装して欲しい旨を従業員に伝えるのが下手なお客さんが多いので困りものなのである。
あからさまに母の日のプレゼント風な物(店側が母の日用に箱詰めしカーネーションを添えたりしたもの)については「ご進物ですか？」と聞くが、そうでないものに関してはこっちからは立ち入らないというのが私のスタンスだ。
お客さんが包めといえば包むし、言わん奴には包んでやらん(＊子供除く)。
バカ丸出しの若い夫婦などにありがちなのは、夫婦揃って進物の意味がわからないという状況だ。
私がダンナの方に「ご進物ですか？」と聞くと
ダンナ「(妻に)おい、ゴシンモツですかってよ」
妻　　「ゴシンモツって何？」
ダンナ「知らん」
私　　「プレゼント用ですか？」
ダンナ「（急にえらそうに）ああ、母の日のプレゼントやけー、箱に入れて包んで―や」
という地獄絵図に私はじっと耐える。
気取ったおばさんに多いのが
私　　　「ご進物ですか？」
おばさん「いえ、別にご進物って言うほどのものじゃないけど、人にあげようと思うのでちょっと包んでナンして下さる？」
それをご進物というのだ。
それにしても「ちょっと包んでナンする」とは具体的にどうしてあげればよいのだろうか？
照れるおっさんも、かわいいがちょっと世話が焼ける。
私　　　「母の日のご進物ですか？」
おっさん「いや、まあ、母の日って言うか…まあ、ちょっと家内にやろうと思うんじゃが…うん、まあ、一応母の日っていやあ、母の日にあげるんじゃけど…」
だからどうしてほしいというのだ。
こういう人は男としては好きなのだが客としては困る。
あと、「これ、母の日のプレゼント用に包んではもらえないでしょうねぇ？」という人もすごくイヤ！
「包んではもらえない」わけがないではないか！
一度でいいからこういう客に「ええ、ちょっと無理ですね」と言ってやりたいものだ。
いい年して「包装して下さい」の一言が言えない人も意外なほど多い。
こっちが袋に入れると「これ、プレゼント用なんですけど！」とか「包んでもくれないんですか！？」といきり立つ。
知るかバカ。
いいもしないで解るかよ。
しかし、なんといっても一番イヤなのは「これ、値札だけ取ってもらえますぅ？」というので、値札を切って袋に入れると「一応人にあげるんですけど」とか言う女だ。
じゃあ「値札だけ」とか言うなよ。
最初からおまえのすべてを見せろ。

このように進物客に因縁ばかりつけている私だが、進物包装は大好きなのだ。
特に母の日の進物は「いい母の日になりますように」と心をこめて包んでいる。
いやホントホント。