幸福の年賀状

2001年1月2日
今年私から年賀状を受け取った人はぜひその年賀状を取り出してみていただきたい。
角のクジの部分がカピカピで汚くなっている人、おめでとう。
それは当たりである。今年はいいことありますよ。
実はそうなったのにはわけがある。
年賀状を書き上げた私は会社帰りにポストに入れようとカバンにグイッと突っ込んでいたのだ。
そして、そのグイッと突っ込んだハガキの角が、カバンに入れていたウエットティッシュのふたのシールを押し下げてしまっていたのだった。
私がポストに入れるべくカバンから取り出したとき、3分の1ぐらいの枚数のハガキの角は湿り、ウエットティッシュは水分を奪われ乾いていた。これではウエット年賀状とティッシュである。
しかしいまさら書き直すわけにもいかず、ウエット年賀状は軽く乾かされ、角の汚い年賀状としてO郵便局前のポストに投函された。
しかし投函したあとふと不安がよぎった。
私は数年前、この同じポストで問題を起こしているのだ。
その年の私の年賀状は、糊状のペンで文字を書き、その上から金銀の粉をまぶし、温めると金や銀の文字が浮き出る、というものだった。
最初はストーブであぶったりしていたのだが、根が短気な私はそのうちガスコンロを使い始め、ふちがうっすら焦げて茶色くなり、なんともレトロっぽい、趣深い年賀状に仕上がってしまった。
私は、これも味だ、と思いO郵便局前のポストに投函した。
そしてそれから仕事に行ったのだが、それから小一時間後、どういうルートで調べたのか会社にO郵便局から電話がかかったのだ。
年賀状には自宅のTELは書いてあったが勤務先はもちろん書いてない。
なぜ私の勤務先がわかったのかはいまだに謎である。
電話の用件は、私が出した年賀状のうち何枚かに焦げ跡があるが、ポストに放火でもされたのではないか、何か心当たりはないか、と言うことだった。
心当たりはありまくりである。
私は、自分が投函した時点でもう焦げていた。他ならぬ私が犯人です。と自白しTELを切ったが非常に恥ずかしかった。
もうあんな辱めを受けるのはイヤだ。
そう思い私は紙に「私の年賀状に濡れ跡があるのは自分の責任で、決して誰かがポストに水を注入したわけではない」旨をしたためポストに入れた。
ちょっと自意識過剰だったかしら?
そんなこんなで、私の出した年賀状の3分の1は角がカピカピなのだ。
当たりの人、大いに喜んでください。
そして「はずれた・・・」とちょっとガッカリなあなた、ここだけの話だが、そんなもん、汚れてない方がいいに決まってるではないか。

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