高校生のときビデオの部品を作る工場でアルバイトをしていた。
そのバイト先は駅から10分ぐらい歩くのだが、途中にバス停があって、そこでいつも1人の女の人がバスを待っていた。
私は初めてその人を見たとき戦慄を覚えた。
ブスなのである。
私ははっきりと言葉にして思った。
「この人は世界一ブスだ」
思えばひどい話だが、本当にそう思った。
縦横に小さい目。穴しかない鼻。パンパンに腫れた唇は針を刺したらプルンと剥けてしまいそうである。
それらのものが黒い器の中にチマチマと配置されている。
毎朝、彼女を見るたびにブルーになったものである。
逢いたくないあまり遠回りをしてしまうことさえあった。
しかし、彼女はあっという間に世界一のブスの座を返上することになる。
高校を卒業し、社会人になった途端、更に上回る人に出会ったのである。
障りがあるといけないので詳しくは書かないがとにかく彼女は世界一の座をあけ渡したのだ。
彼女は私の勤め先にお客さんとしてたまに来ていた。
私は彼女を見るたびに「あ、世界で2便目にブスの人だ」といちいち思っていた。
そしてしばらく逢わなかったのだが、今日久しぶりにあった。
「あっ!ひさしぶりー。世界で2番目の人じゃん」と思ってまじまじと見たが、そんなにたいしたブスではなかった。
もちろんブスはブスだがどこにでもいる程度のブス。
世界一なんてとんでもない。
町内一の座さえ危うい。
私は昔この程度でブルーになったりしていたのか。
多感だった高校生時代だったゆえにそう見えたのだろうか。
私はあまりにも井の中の蛙であった。
長い間の世界第2位の重責お疲れさまでした。
肩の荷はずいぶん重かったであろう。
これからは楽に生きてほしいと思う。
でも私はこの先も、彼女に逢うたび「あ、世界で2番目」と思いつづけるであろう。
そのバイト先は駅から10分ぐらい歩くのだが、途中にバス停があって、そこでいつも1人の女の人がバスを待っていた。
私は初めてその人を見たとき戦慄を覚えた。
ブスなのである。
私ははっきりと言葉にして思った。
「この人は世界一ブスだ」
思えばひどい話だが、本当にそう思った。
縦横に小さい目。穴しかない鼻。パンパンに腫れた唇は針を刺したらプルンと剥けてしまいそうである。
それらのものが黒い器の中にチマチマと配置されている。
毎朝、彼女を見るたびにブルーになったものである。
逢いたくないあまり遠回りをしてしまうことさえあった。
しかし、彼女はあっという間に世界一のブスの座を返上することになる。
高校を卒業し、社会人になった途端、更に上回る人に出会ったのである。
障りがあるといけないので詳しくは書かないがとにかく彼女は世界一の座をあけ渡したのだ。
彼女は私の勤め先にお客さんとしてたまに来ていた。
私は彼女を見るたびに「あ、世界で2便目にブスの人だ」といちいち思っていた。
そしてしばらく逢わなかったのだが、今日久しぶりにあった。
「あっ!ひさしぶりー。世界で2番目の人じゃん」と思ってまじまじと見たが、そんなにたいしたブスではなかった。
もちろんブスはブスだがどこにでもいる程度のブス。
世界一なんてとんでもない。
町内一の座さえ危うい。
私は昔この程度でブルーになったりしていたのか。
多感だった高校生時代だったゆえにそう見えたのだろうか。
私はあまりにも井の中の蛙であった。
長い間の世界第2位の重責お疲れさまでした。
肩の荷はずいぶん重かったであろう。
これからは楽に生きてほしいと思う。
でも私はこの先も、彼女に逢うたび「あ、世界で2番目」と思いつづけるであろう。
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